台湾有事を考える
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島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
台湾有事は実際に起こる可能性はあるのか。日本のみならず世界の関心は高まりつつある。特にロシアのウクライナ侵攻が起こったことで、台湾有事は急速に現実味を帯びてきたといえる。さらに、年々緊張の度合いを高める中国の尖閣諸島への進出は、まさに台湾有事に直結する問題でもある。この切迫する状況の中で日本は何をすべきか。さまざまな視点で考えていく。(全9話中第1話)
時間:13分52秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年1月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●台湾をめぐる米中対立と日本の対応


 皆さん、こんにちは、島田晴雄です。

 今日は皆さんと台湾有事を考えるというテーマで、ご一緒に考えたいと思います。台湾有事が最近、非常に関心を集めています。政府は2022年の秋から台湾有事を念頭に、防衛力の強化をめぐって政策討議を続けてきました。とりわけ反撃能力の保有による抑止力の強化と、防衛予算の大幅増の内容と財源に関心が注がれていました。習近平政権は、台湾問題は中国の「核心的利益」の核心だと言い切っているわけです。

 アメリカのバイデン政権は、「一つの中国」の原則は認めるけれども、台湾の現状を一方的に変えることは許さない。米中関係は台湾問題をめぐって、とりわけ最近対立を深めているわけです。習近平主席は、台湾併合による祖国の統一は中国の「核心的利益」の核心であり、平和的統一を目指すけれども、武力行使の選択肢は排除しない。このように言っています。

 バイデン大統領は、中国が台湾に武力侵攻するなら、軍事的介入も辞さないと、繰り返し言っています。習近平氏は、台湾併合による祖国統一は中国共産党の歴史的任務であり、とりわけ第3期に入った習近平政権にとって、歴史的レガシーとして、ぜひとも実現したいところだと考えていると思います。また、台湾を手に入れることができると太平洋への出口を確保することになるので、太平洋の制海権を握るための要件なのです。

 アメリカにとって台湾の現状を維持することは、シーレーンを確保することでもあります。また、アメリカは世界の民主主義の盟主ということを任じているわけで、中国の圧力の下でも民主主義を志向して頑張っている台湾を見捨てることはできない。もし台湾の現状を守りきれなければ、アメリカは信用を失って、その権威は失墜するだろうということです。日本はアメリカの軍事同盟国ですから、台湾海峡の平和と安定を守るためにアメリカに協力して、そのために日本の防衛力の格段の強化を約束しているわけです。

 台湾をめぐる米中対立の中でも、もし台湾を武力で争奪するような有事が起これば、日本は日米同盟に基づいて米軍の支援をすることになって、日本の国土、経済、社会などを巻き込む有事に引き込まれるわけです。したがって、台湾有事はすなわち日本有事であって、ロシアの侵略を受けたウクライナの例を見ても分かるように、国土、経済、社会など...

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