●人民解放軍による台湾侵攻と台湾の反撃
さて(中国の武力侵攻シミュレーションですが、)とうとう人民解放軍の本隊が台湾侵攻を始めます。どのように侵攻するのかというと、東海岸からです。
台湾の地形ですが、すごく高い山脈があります。中央部の南北です。太平洋戦争を始める時に「ニイタカヤマノボレ」という暗号がありましたが、あの玉山(旧称新高山)は富士山より高い3952メートルです。これを最高峰とする脊梁山脈というものがあり、背骨のようなものです。
ですから、(中国)大陸側から攻めると市街地が密集していて防御もきついのですが、東側は手薄なのです。ここ(大陸側の西側)で手間取っていると、東に入れないので、まずここ(東側)から攻めて落として、西から攻めるという考え方のようです。
まずミサイルによる集中攻撃戦法を取ります。台湾の西海岸への上陸作戦は、先ほど申し上げたように、ほとんど難しいということを言いましたが、実際にもそうなのです。したがって、今回は東海岸をミサイルで徹底的に攻撃して基地を破壊します。ここには大きな基地が1つありますが、これも破壊するということで、戦力の無力化を図り、その後でほどなく西側から攻め、東西から挟み撃ちにして台湾島を制圧しようという戦略を取っているようです。
人民解放軍のミサイル攻撃は、中国本土の東海岸にずらっとありますから、そこからやることもあるのですが、艦艇をここ(台湾の東側)に並べてそこからやることもあります。これを「スタンドオフ」といいます。そして、台湾の主要な軍事施設に莫大なミサイル攻撃を行い、また空港など社会経済インフラにもミサイル攻撃を行うので、台湾の軍事施設、社会経済にかなりの損害が出ます。
これに対して、もちろん台湾軍は反撃します。PAC3などで迎撃しますが、ミサイル迎撃はほとんど効果がありません。ただ、人民解放軍が東海上に展開する艦艇(台湾の東側あたりにたくさんの艦艇がいるわけですが)に対して、台湾軍はスタンドオフミサイルを発射して対艦攻撃をします。これは一定の効果があります。
●在日米軍の支援出動と地下シェルターを整備している台湾住民
住民の避難はどうなっているかというと、台湾にはものすごく多くのシェルター(防空壕)が造られています。ここでは避難を迅速にする訓練もしています。この段階で、まだ始まって1日、2日ですが、台湾当局はアメリカ軍に出動要請を出します。そうすると、米軍はどこから来るかというになりますが、当然、日本にいる在日米軍です。アメリカ当局からも在日米軍に支援をするよう命令が出るので、一番最初に来るのは嘉手納空軍基地などです。ミサイルがバンバン飛んできていますから、米軍はまず東海岸のミサイル基地を徹底的に叩きます。当然、中国の東部方面軍も反撃します。
しかし、米軍基地への直接の攻撃はあまりしないようです。中国は米軍との直接の戦闘はできるだけ避けたいからです。なぜかというと、アメリカが本気になると怖いからです。しかし、必要な抑止反撃はしなければいけないので行います。中でも嘉手納の米軍基地は、アメリカの本土外にある世界最大の空軍基地ですが、ここを集中的に攻撃されて滑走路とか弾薬庫が破壊され、かなり機能が落ちます。
それから、在日米軍は北朝鮮軍のミサイル基地を攻撃するわけですが、北朝鮮の攻撃対象は、移動して変化するので攻撃の効果は限定的です。日米安保に基づいてアメリカから自衛隊に支援の出動要請が来て、米軍による中国東部へのミサイル基地攻撃や北朝鮮のミサイル基地攻撃に、自衛隊が参加して支援するわけです。
日本では新しい安全保障戦略に書かれた「反撃能力」はまだ未整備なので、北朝鮮のミサイル発射基地への効果的な反撃はなかなかできません。長距離のスタンドオフミサイル開発はまだ時間がかかるし、トマホークはまだ届いていません。
次に、北朝鮮は日本の沖縄基地と本土基地を攻撃します。北朝鮮は極超音速変動軌道ミサイルをたくさん使うので、迎撃はほとんどできません。自衛隊の那覇基地とか本土の多くの基地は、ミサイルの着弾で大きな損害を受け、航空機や艦船の戦闘能力が著しく低下します。
このような最初の数日の戦いですが、台湾の武力併合は成功するのかということについて、ちょっと客観的な観察をしてみます。
台湾軍の抵抗は意外に強く、台湾は有事に備えて全島ハリネズミ型の防備体制を2023年には整備します。対空・対艦火砲、対ミサイル迎撃システムを使い、予備役兵が30万人動員されます。中国のスタンドオフミサイル発射基点の艦艇に攻撃をどんどんします。そして祖国防衛の意識も強い。
台湾の住民はシェルターで自己防衛しますが、全島に無数のシェルター...