台湾有事を考える
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日本窮乏化作戦――シーレーン分断を狙う中国の意図
台湾有事を考える(7)中国による武力侵攻シナリオ〈後編〉
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
サイバー攻撃から始まる中国の武力侵攻シミュレーションだが、今回はその本丸である台湾への具体的な人民解放軍の武力攻撃はどのようなものになるのか、考えられる予測シナリオに基づいて解説する。また、中国の攻撃に台湾はどのように対応できるのか、具体的な防衛策を分析しながら、日本が参考にすべきことや整備しなければならない問題点を取り上げる。(全9話中第7話)
時間:12分22秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年2月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●人民解放軍による台湾侵攻と台湾の反撃


 さて(中国の武力侵攻シミュレーションですが、)とうとう人民解放軍の本隊が台湾侵攻を始めます。どのように侵攻するのかというと、東海岸からです。

 台湾の地形ですが、すごく高い山脈があります。中央部の南北です。太平洋戦争を始める時に「ニイタカヤマノボレ」という暗号がありましたが、あの玉山(旧称新高山)は富士山より高い3952メートルです。これを最高峰とする脊梁山脈というものがあり、背骨のようなものです。

 ですから、(中国)大陸側から攻めると市街地が密集していて防御もきついのですが、東側は手薄なのです。ここ(大陸側の西側)で手間取っていると、東に入れないので、まずここ(東側)から攻めて落として、西から攻めるという考え方のようです。

 まずミサイルによる集中攻撃戦法を取ります。台湾の西海岸への上陸作戦は、先ほど申し上げたように、ほとんど難しいということを言いましたが、実際にもそうなのです。したがって、今回は東海岸をミサイルで徹底的に攻撃して基地を破壊します。ここには大きな基地が1つありますが、これも破壊するということで、戦力の無力化を図り、その後でほどなく西側から攻め、東西から挟み撃ちにして台湾島を制圧しようという戦略を取っているようです。

 人民解放軍のミサイル攻撃は、中国本土の東海岸にずらっとありますから、そこからやることもあるのですが、艦艇をここ(台湾の東側)に並べてそこからやることもあります。これを「スタンドオフ」といいます。そして、台湾の主要な軍事施設に莫大なミサイル攻撃を行い、また空港など社会経済インフラにもミサイル攻撃を行うので、台湾の軍事施設、社会経済にかなりの損害が出ます。

 これに対して、もちろん台湾軍は反撃します。PAC3などで迎撃しますが、ミサイル迎撃はほとんど効果がありません。ただ、人民解放軍が東海上に展開する艦艇(台湾の東側あたりにたくさんの艦艇がいるわけですが)に対して、台湾軍はスタンドオフミサイルを発射して対艦攻撃をします。これは一定の効果があります。


●在日米軍の支援出動と地下シェルターを整備している台湾住民


 住民の避難はどうなっているかというと、台湾にはものすごく多くのシェルター(防空壕)が造られています。ここでは避難を迅速にする訓練もし...

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