台湾有事を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本窮乏化作戦――シーレーン分断を狙う中国の意図
台湾有事を考える(7)中国による武力侵攻シナリオ〈後編〉
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
サイバー攻撃から始まる中国の武力侵攻シミュレーションだが、今回はその本丸である台湾への具体的な人民解放軍の武力攻撃はどのようなものになるのか、考えられる予測シナリオに基づいて解説する。また、中国の攻撃に台湾はどのように対応できるのか、具体的な防衛策を分析しながら、日本が参考にすべきことや整備しなければならない問題点を取り上げる。(全9話中第7話)
時間:12分22秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年2月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●人民解放軍による台湾侵攻と台湾の反撃


 さて(中国の武力侵攻シミュレーションですが、)とうとう人民解放軍の本隊が台湾侵攻を始めます。どのように侵攻するのかというと、東海岸からです。

 台湾の地形ですが、すごく高い山脈があります。中央部の南北です。太平洋戦争を始める時に「ニイタカヤマノボレ」という暗号がありましたが、あの玉山(旧称新高山)は富士山より高い3952メートルです。これを最高峰とする脊梁山脈というものがあり、背骨のようなものです。

 ですから、(中国)大陸側から攻めると市街地が密集していて防御もきついのですが、東側は手薄なのです。ここ(大陸側の西側)で手間取っていると、東に入れないので、まずここ(東側)から攻めて落として、西から攻めるという考え方のようです。

 まずミサイルによる集中攻撃戦法を取ります。台湾の西海岸への上陸作戦は、先ほど申し上げたように、ほとんど難しいということを言いましたが、実際にもそうなのです。したがって、今回は東海岸をミサイルで徹底的に攻撃して基地を破壊します。ここには大きな基地が1つありますが、これも破壊するということで、戦力の無力化を図り、その後でほどなく西側から攻め、東西から挟み撃ちにして台湾島を制圧しようという戦略を取っているようです。

 人民解放軍のミサイル攻撃は、中国本土の東海岸にずらっとありますから、そこからやることもあるのですが、艦艇をここ(台湾の東側)に並べてそこからやることもあります。これを「スタンドオフ」といいます。そして、台湾の主要な軍事施設に莫大なミサイル攻撃を行い、また空港など社会経済インフラにもミサイル攻撃を行うので、台湾の軍事施設、社会経済にかなりの損害が出ます。

 これに対して、もちろん台湾軍は反撃します。PAC3などで迎撃しますが、ミサイル迎撃はほとんど効果がありません。ただ、人民解放軍が東海上に展開する艦艇(台湾の東側あたりにたくさんの艦艇がいるわけですが)に対して、台湾軍はスタンドオフミサイルを発射して対艦攻撃をします。これは一定の効果があります。


●在日米軍の支援出動と地下シェルターを整備している台湾住民


 住民の避難はどうなっているかというと、台湾にはものすごく多くのシェルター(防空壕)が造られています。ここでは避難を迅速にする訓練もし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑