台湾有事を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
レガシー実現へ、習近平第3期政権の非合理な決断はあるか
台湾有事を考える(5)習近平第3期政権指導部の構成と背景
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
第3期目に突入した習近平政権の特色は、何といってもこれまで以上に習近平氏の独裁制を強めたことだ。これまでは存在した国際派や開明派の人物もいなくなり、トップの顔色ばかりをうかがう政権指導部となった。それは中国経済を崩壊させたゼロコロナ政策にも現れ、ますます台湾統一へ向けてその歩調は早まっているように感じる。今回は新チャイナ・セブンの顔ぶれから見てみる。(全9話中第5話)
時間:7分20秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年2月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●視野狭窄に陥った習近平第3期政権指導部


 さて、ここで皆さんと一緒に考えてみたいのは、常識的に考えれば、台湾の武力侵攻、武力制圧などというシナリオはあり得ないのですが、実際にあり得るのではないか、(しかも)それが早まる可能性があるのではないかということです。つまり、その可能性が少し出てきているように思います。

 それはどういうことかということで、習近平氏の第3期政権指導部を作った時、そして彼らの背景について考えてみたいと思います。トップに政治局常務委員が7人いて、そのトップが習近平氏なのですが、その他に李強(リー・チャン)という首相、それから趙楽際(ジャオ・ルオ・ジー)、王滬寧(ワン・フー・ニン)、蔡奇(ツァイ・チー)、丁薛祥(ディン・シュエ・シァン)、李希(リー・シー)、の6人がいます。この人たちは一言で何だというと、習近平氏が地方の行政のトップをやっていた時に、いいやつだと見込んだ連中ですが、全て習近平様々、「習近平・命」のような人たちです。これまでは国際派とか開明派はずいぶん政権にいたのですが、全部これをお役御免にしました。

 それから、中央軍事委員会というものがあります。これは「台湾シフト体制」といってもいいのですが、副主席の張又侠(チョウ・ヨウ・キョウ)という人は習近平氏の父親からの関係から、それから(同じく)副主席の何衛東(カ・エイ・トウ)という人は台湾の作戦に精通しています。ですから、非常に台湾シフトなのです。こういうものを見ていると、習近平指導部は、世界が見える人、開明派の人、先が見える人がほんどいなくて、一言でいえば視野狭窄症に陥っているのではないかと思うのです。

 習近平氏は完全な独裁体制で、「習近平思想」を憲法の中に入れたわけですし、経済もこれまで地方経済を引っ張ってきたIT産業をほとんど叩き潰しているし、社会的には共同富裕とか言っていながらみんなを貧乏にするようなことをやっています。教育も完全に習近平思想になっているし、相当ひどいのです。


●中国経済を崩壊させたゼロコロナ政策


 このところの1年くらいの間で中国経済は急速に悪くなっています。特にゼロコロナ政策が大失敗です。2020年春に新型コロナウイルスの感染抑制に成功し、それ以降、中国のワクチンが世界一だといって、それが信念になっているのです。ところが、オミクロン株が流行った時...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓