半導体から見る明日の世界
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ファブレスとファウンドリー、2つに分かれる世界の半導体
半導体から見る明日の世界(2)半導体産業の世界分布と3つの潮流
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
現在の半導体産業を国別・地域別に分類してみると、アメリカ、東アジア、欧州という3つのエリアが深く関係しながら市場を構成している。中でも、ファブレスとファウンドリーという半導体生産のすみ分けができ上がり、それぞれがその機能と品質をさらに高めつつある。今回は、半導体の世界的な大きな3つの流れについて、最先端の半導体生産を独走する台湾のTSMCと半導体の命綱を握る欧州2社を中心に見ていきながら、TSMCの創業者モリス・チャンによって世界一のファウンドリーを築いた手法も学んでいく。(全12話中第2話)
時間:15分32秒
収録日:2023年7月14日
追加日:2023年9月4日
≪全文≫

●2つに分かれる世界の半導体分布


 それでまず、世界の半導体産業の鳥瞰図ということを考えてみたいと思います。

 世界の半導体は、鳥瞰図といってもなかなか分かりにくいのですけれども、ここに主な技術やチップ(に関する分野)が並んでいます。まず(半導体)チップというのは2センチ角くらいの小さなもので、さらに、設計ソフト、要素回路ライセンスというものがあり、半導体を作る装置、(次の)ファウンドリーは下請けです。それから、製造するときの後工程、そして(最後の)ウェハーというのはLPレコードみたいな薄いもので、その上に光を当てて半導体を作っていくのです。

 このような分野があって、アメリカ、台湾、欧州、日本、中国、韓国を並べてみると、何やらパーセンテージでアメリカがすごく大きいのです。これはどうしてなのかというと、すぐには分からないのですが、これには二重計算、三重計算が入っているので、とにかくこのように表すとアメリカが多いだけです。中国がすごく少ないというのは正当ではないのですが、ただ、そのような分布になっているわけです。

 これだけを見ると分かりにくいので、ここで世界の半導体の分布を知るためには、どのように理解したらいいのかということを説明します。

 そこで、このように考えたら分かりやすいと思います。今の世界の半導体はファブレス(fabless)といって、ファブというのは工場ですが、工場のない半導体メーカーと、ファウンドリー(foundry)という委託生産業者、つまり下請けですが、この2つに分かれています。

 ファブレスというのは何かというと、設計をしたり、設計のライセンスをやったり、製造方法を考えたり、要するに頭脳です。工場を持たないので投資のコストがあまりなく、すごく効率がいいのです。ものすごく価値が高いものを頭の中で作りますので儲かるのです。この中心はアメリカです。アメリカは今、ファブレスの半導体メーカーが中小企業も含めて1000ぐらいあるといわれています。

 それから、ファウンドリーというのは何かというと、これは台湾のTSMCという会社が何十年か前に始めたのですが、ファブレスの企業が「こういう半導体を作ってほしい」と設計して渡すと、その通りに作るところです。しかも最先端のものを作ります。これが世界に何百とあるわけで、非常に大きな工場を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
編集部ラジオ2025(18)音楽って実は数学でできている?
動画講義だからこそ音楽と数学の深い関係がよくわかる!
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アカデメイア」から考える学びの意義(3)受け継がれる学園の理念
アカデメイアからアカデミーへ…自由なる学びの府の原型
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
生活習慣病予防に~健診結果の正しい読み方(1)データから生活習慣を考える
内臓脂肪がなぜ増えた?データから考えるリスクファクター
野口緑
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
未来を知るための宇宙開発の歴史(6)技術の確立、そして民間企業が参入へ
スターリンクや宇宙旅行の課題とは?…民間企業の宇宙開発
川口淳一郎