半導体から見る明日の世界
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デカップリングへ突き進むアメリカの半導体支配戦略
半導体から見る明日の世界(5)バイデン政権の半導体戦略
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
米中対立による半導体戦争は今後さらに激化すると考えられるが、最先端技術の頭脳部分では圧倒的にアメリカが優位に立つ。ただし、半導体の新戦略をアメリカ国内で推進していくためには、それ相応の問題も立ちはだかる。今回の講義では、アメリカ国内の政治的な問題をバイデン政権はどのように解決していったのか、その政治手法について詳しく見ていく。(全12話中第5話)
時間:8分33秒
収録日:2023年7月14日
追加日:2023年9月25日
≪全文≫

●連続して支持率を落とす中で起死回生の妙策


 次に「アメリカ雇用法案」ですが、これは雇用というよりは、アメリカの設備の多くはもうボロボロになっていますので、それをリニューアルするということでした。これも日本円にすると8年間で260兆円です。その次の家族法案というのは、実はアメリカの労働者のスキルを高めるということなのです。

 ですから、実はインフラを整えて、スキルを高めて、競争力を強めて中国に勝つという戦略でした。最初の新型コロナから救済するというのはうまくいきましたが、次の雇用と家族法案は、その予算をどこから持ってくるか、です。

 バイデンさんは、アメリカ救済法案はアメリカの国債でファイナンスして、それをうまく通しました。もう1つは雇用法案で、これは実はインフラを立派にするという法案なのですが、財源は富裕層に税をかけることと、企業課税を重くするということですから、共和党は絶対許さない、財界も許さないということで、同じことを家族法案でやったわけです。

 それでバイデンさんは、自分の大戦略が通らないものですから、政治的にすごく難しい立場に立ってしまったのです。その時に、民主党の中にはっきりいうと裏切り者のような人がいました。ウェストバージニア州の上院議員で、ジョー・マンチンという人がいます。ウェストバージニアは石炭を生産している州です。

 バイデンさんは環境派ですので、石炭を止めようという話ですから、それはとんでもないということで、あらゆるところで邪魔をするわけです。当時の上院というのは、民主党が50人、共和党が50人で、民主党のジョー・マンチンが共和党以上に共和党のようなことを言うと、共和党派が51人になってしまうのです。民主党が49人です。

 そうすると、バイデンさんの投げる政策が全部通らなくなりました。それでバイデンさんはがっかりしてこの規模を半分にします。それでも通らないということで、本当に人気も落ちてしまい、アフガニスタンから撤退することでも人気は落ちるし、インフレ政策も失敗したということで、どんどん落ちて非常にかわいそうな状況になっていました。

 その時にバイデンさんが、九死に一生を得るようなことを考えました。「IRA(Inflation Reduction Act)」という、インフレを抑制するという名前にしたらどうかと言ったら、ジョー・マンチンもいいじゃないかと乗って...

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