グローバル・サウスは世界をどう変えるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
どうなるアメリカ大統領選…多極化時代の潮流を読む
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(7)世界システムの変容と多極化
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
第2次世界大戦後、圧倒的な経済力でアメリカ中心の国際秩序が形成された。しかし、変動相場制移行や冷戦終結などでパクス・アメリカーナが終焉すると、その後はグローバリゼーションが世界を覆っていった。そして近年、グローバル・サウスの新興国が勢力を伸ばし、世界システムが混迷する多極化の時代が到来している。今回の講義では、これらの流れをより深く具体的に考察する。(全10話中第7話)
時間:10分08秒
収録日:2024年2月14日
追加日:2024年5月15日
≪全文≫

●世界を変えたパクス・アメリカーナの転換


 そこでこれからの世界はどうなるのか、その世界の中で日本はどうしたらいいのかということを、皆さんと考えていきたいと思います。

 第2次世界大戦後の世界も決定的にアメリカ主導のシステムでやってきました。しかし、アメリカが歴史的にだんだん変化して、アメリカ自身が変質してくると、日本はアメリカが変質していても日米安保準拠でやっているのですが、これで果たしてこれからの世界に通用するのかということを考えたいですね。

 アメリカは第2次世界大戦後、次のような背景がありました。アメリカは戦災を受けていません。しかも、もとから非常に力の強い国でした。GDPでいえば、終戦直後で世界の52パーセントぐらいをアメリカが占めていたようです。

 アメリカは当時、民主党でしたが、民主党は大変理屈っぽい政党で、他の国々が疲弊しているとアメリカ自体が成長しませんから、つまりトレードができないからですが、そういうことで他の国々を支援するという考え方でした。

 実は、それで日本をすごく支援してくれたし、ドイツも支援したのです。また、第1次世界大戦後にドイツを支援しなかったので、それによってヒトラー政権になってしまったという教訓もありました。

 これを「パクス・アメリカーナ」といいます。アメリカには、金融ならIMF、経済発展なら世界銀行、貿易ならGATT、そして国連と、全て置きました。もっと大きいのは、アメリカは非常に富がありましたから、金本位制だったことです。

 世界全体を相手にして、しかも固定為替レートです。ただ、変動為替だと経済が伸びれば為替レートが上がりますから競争力は落ちますが、固定為替だと競争力は伸び放題です。たちまちドイツと日本が発展するというようなことを許したのです。そういう状況の中で、日本はアメリカに依存して戦後をやってきているわけです。

 ところが、アメリカもさすがにそれでは(経済を維持、発展)できなくて、二重の赤字がすごくなり、ニクソン大統領は1971年8月15日に電撃発表をします。私はたまたまシカゴ大学にいたのですが、シカゴ大学の先生とテレビを見ていたらニクソンさんが出てきて、「日本に対するアメリカの赤字がものすごいところに来ている。このままではやっていけない。だから今日8月15日に変動為替にする」と宣言したのです。

 これに世界中が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓