地政学入門 歴史と理論編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜアメリカはロシア、中国より圧倒的に地理的優位なのか
地政学入門 歴史と理論編(3)地政学でみたアメリカ・ロシア・中国
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
国や地域がどこに位置するかという普遍的な要素から、国際政治の歴史や情勢を分析する地政学。今回はアメリカ、ロシア、中国という3つの大国を例にとり、地図を俯瞰しながらどのような分析が可能になるかを具体的に見ていく。ランドパワーとシーパワーの違いといわれることはあるのだが、地政学的条件をひも解くと、アメリカの圧倒的な優位性が浮かび上がってくる。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分55秒
収録日:2024年3月27日
追加日:2024年5月14日
≪全文≫

●シーパワーでありつつ大陸国家でもあるアメリカ


―― 続きまして、先生にご用意いただきましたのが「アメリカの地政学的優位」というところでございます。

小原 具体的に、この3つの国(アメリカ・ロシア・中国)について地図で改めて見てみると何が見えてくるか、川上さん、何か分かりますか。

―― 書いてあるのは「世界の航路」ということですけれど。

小原 はい。

―― 色がついているところが、船が通っているところですね。

小原 そうですね。これは、先ほどいったように、私はできればアメリカが真ん中にある地図を持ってきたかったのです。

―― なるほど。

小原 ところが、それを探したのですけれど、ないのです。アメリカを真ん中に置いたように想像してみてください。そうすると、左に太平洋があって、その向こうに日本を含むアジアが広がるわけです。アジアといえば、世界の経済の中心がヨーロッパなど、太平洋から大西洋に広がってきて、APECもそうなのですけれど、中国の台頭、あるいはインド、東南アジア、日本も含めて、こちらに重心が移ってきたとよくいわれます。

 もちろん、大西洋との関係は以前からすごくあって、つまり大西洋、太平洋というこの大変なシーレーン、あるいは交易が行われるようなこの2つの大海の真ん中に、実はアメリカは存在するのだということなのです。

 つまり、ランドパワーとシーパワーの違いとよくいわれるわけですけれど、シーパワーというのはある意味で、大海、海洋です。

 実は、海洋というのは誰のものでもないのです。今でも、国連海洋法条約というものがありますけれど、実際には自分の領海、これは主権が及ぶところです。それでさらにその外に、排他的経済水域の200海里がもちろんあるわけですけれど、要するにここには、制限された主権的な権利しか国際法で決められたものしかないわけです。さらにいくと、そのそばには広い公海があって、これは「公海の自由」といって、誰もが平等に使えます。「グローバルコモンズ」ともいいますけれど、みんなの共有財産なのです。

 そういった広い海を、シーパワーは自由に使って、交易等を通じて莫大なエネルギーあるいは活力、経済的な資産も含めて富をそこから蓄えてくることによって、パワーとして台頭したわけです。これは古代アテナイからそうなの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
川口淳一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳