2024年危機~米中関係の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
安全保障のジレンマ…「防衛力」を言い出したらキリがない
2024年危機~米中関係の行方(5)米中ロの地政学的関係と日本の防衛力
小原雅博(東京大学名誉教授)
権威主義的なロシアと中国の連携が強まり、アメリカを筆頭とする民主主義的な国との緊張が高まっている。世界の二極化は今後加速していくだけなのだろうか。両者の対立を激化させず、危機を回避するために必要な日本の防衛力と外交について論じていく。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分09秒
収録日:2022年9月6日
追加日:2022年12月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●強まる中国とロシアの連携、それを阻みたいアメリカの地政学的事情


―― 追加の質問でございます。「ウクライナ戦争をめぐる西側とロシア、中国を代表する権威主義側の対立をめぐる方向性についてご教示ください。またロシアと中国の関係性についてお考えをお聞かせください」ということで、権威主義対民主主義、またロシアと中国の関係についてです。

小原 まずロシアと中国の関係については2つの議論があります。どちらが優勢かという問題があるのですが、中国とロシアは長い国境を接して、いわゆる中ソ論争から国境紛争までありました。極めて対立が激しかった時代があり、それゆえにアメリカと中国が関係を改善して、キッシンジャー元国務長官、ニクソン元大統領のときですが、大きな米中ソの関係がガラッと変わり、これが国際政治を大きく変えました。そうした歴史的な意味合いも持つような中国とソ連、中国とロシアの関係なのです。これはこれまでに言ったように、隣の国同士はいろいろな難しい問題を抱えているわけです。

 そういった中で、アメリカからすれば、中ロが一体になって権威主義という体制でまとまって、アメリカを中心とするような自由と民主主義の価値を共有するような陣営との新しい冷戦みたいなものが生まれるのは、僕は望ましくないと思うのです。

 ですから、戦略的には、できれば中国とロシアを引き離したいです。なんとかこの間にくさびを打ち込みたいということなのですが、どうも近年の動きを見ていると、アメリカに対して中ロが手を握って、アメリカを共通の敵として動いているという流れがあるわけです。

 地政学的には、これはアメリカにとって良くないのです。アメリカの対外政策の基本的なところは、ユーラシアが一つの大国、あるいは同盟する2つの大国などによって覇権を握られてしまうということが一番いけないので、これは絶対許してはいけないのです。

 なぜかというと、アメリカの地政学を見たら分かるように、アメリカの北はカナダ、南はメキシコという、軍事的には非常に弱く、かつアメリカとは友好的な国です。東と西は太平洋と大西洋、つまり海です。こうした地政学的に非常に安全で有利な状況に置かれているアメリカと違って、ヨーロッパでは2つの大戦が起きたように、やはりユーラシアは大変です。

 地政学でユー...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ