●変化への動きはすでに2010年頃から生じていた
2017年は、いよいよ世界が本格的に変化していく年だと思います。確かにそれまでに、さまざまな意味で、皆がびっくりするような大きな出来事が、いくつも起こりました。例えば、2016年6月のイギリスのBREXIT、つまりEU離脱の国民投票や、ドナルド・トランプ政権の誕生です。英語ではwobbling(ぐらつかせる)と言いますが、皆がギョッとするようなニュースがたくさんありました。しかし、これはいわば前座です。現象として目立つけれども、意味としてはそんなに大きな動きではなく、さほど重要ではありません。というのも、大きく見れば、こうした動きはすでに2010年ごろから生じていたからです。
例えば、EUについていえば、ギリシャ危機がその頃すでに生じていました。ギリシャがEUから脱落するかどうかという話が、すでに2010年ごろからあったわけです。あるいは、日本の領土問題、尖閣諸島の問題も、2010年ぐらいから顕在化していました。北朝鮮の問題も、その頃からすでに危機的な状況でした。
またアメリカでは、オバマ政権の政策的な行き詰まりが明らかになり、次は保守政権に交替するだろうという流れになっていました。当時、ティーパーティーという保守勢力が勢いづいており、次の大統領選挙の主役になるのではないかとささやかれていたのです。共和党の主勢力となるのは、ティーパーティーだろうと言われていました。実際、それは当たっていました。トランプ大統領はそうでなかったとしても、副大統領のマイク・ペンス氏はティーパーティーに属していた人で、その波に乗って、ここまで上りつめてきたのです。
●グローバルのプレートが移動している
さらに言えば、中国も北京オリンピックが終わって、鄧小平路線を捨て去りました。「いよいよ中国は本性をむき出しにし始めた」という言い方をする人もいます。それまで中国は、鄧小平が言っていたように、もめごとを少なくし、頭を低くして諸外国と協調しながら経済を発展させ、協力関係をつくるという方針でした。しかし、北京オリンピック以後、こうした鄧小平路線は、かなぐり捨てられたのです。中国は言うべきことを言う、やるべきことをやる、これが習近平政権の下で明確になってきました。これは、すでに2010年前後のことです。
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