激変しつつある世界―その地政学的分析
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本人の平等の価値観こそ日本のセーフティーネットだ
激変しつつある世界―その地政学的分析(10)平等の価値観
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
歴史学者で京都大学名誉教授の中西輝政氏が、日本人の平等の価値観がいかに重要かを解説する。これは一見、江戸時代の身分制や戦時中の軍隊の仕組みとは食い違うように見えるが、それらにも平等の価値観は息づいていた。非正規雇用の導入で身分格差が生じる今、平等の価値観こそ日本のセーフティーネットなのだと認識すべきだ。(全10話中第10話)
時間:9分57秒
収録日:2017年5月16日
追加日:2018年1月16日
≪全文≫

●格差拡大は日本にとって非常に危険なこと


質問 民主党・野田佳彦政権が行おうとした税と社会保障の一体改革は、方向性は良かったと言えるのでしょうか。

中西 そうですね。ただし2012年のあの時点から、もう5年以上がたちます。あの時点でもし着手できていればと思いますが、今のアベノミクスは結局これを避けるために出てきて、国民もそれを歓迎した面があります。しかしこの間、答えは出せないでいます。失われた5年になってしまったのです。

 財政再建にとっても明らかにそうです。失われたどころか、もっと悪くなっています。しかし2012年の時点で、あの再建策がスムーズに実行できたか、実行できていたとすればどんなことが起こっていたのか、これはなんとも言えません。その間の世界経済とも関わってくる問題ですし、自信を持って答えようがありません。

 日本人にとって格差が拡大するということは、国家として非常に危険なことです。それは海外に出ると如実に感じます。例えばロシア人は、格差に耐えられるでしょう。他方、日本人は単一民族といいますか、やはりみんな平等が何よりの倫理、モラルなのです。それを外してしまえば、何の善悪の基準もないぐらいに重要なのです。


●非正規雇用は身分格差だ


質問 アベノミクスで失業率が改善されていると言われていますが、どのように見ていらっしゃいますか。

 本当の問題は、非正規雇用だと思います。これは日本人の心をすさませている、もう一つの原因でしょう。これこそ格差、それも身分格差です。グローバリゼーションの環境の下での、あるべき日本型雇用を、もっと考慮してほしかったところです。しかし、非正規雇用は早い段階から導入されていました。雇用が増えても所得が増えないし、安定した雇用でもないとすれば、「雇用が増えた」という表現は、従来の意味とは異なってくるでしょう。

 欧米やインド、東南アジアの人々は、身分格差的なものをあまり気にしません。非正規でも、正規よりたくさん給料を渡している会社がありますが、それでもうOKなのです。ところが日本人には、そのように割り切れない何かがあるのです。

 常々不思議に思っていたことがあります。平等主義が強固な遺伝子のようになっている日本なのに、江戸時代は階層社会でした。当時の人はあの身分制をどのように感じていたのでしょうか。資料を見たり、井原西鶴を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ