激変しつつある世界―その地政学的分析
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
アメリカ社会のリーダー層における三つどもえの構造
激変しつつある世界―その地政学的分析(6)アメリカ社会
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
歴史学者で京都大学名誉教授の中西輝政氏によれば、アメリカ社会にはグローバリゼーションを巡って三つどもえの構造が存在する。トランプ大統領を支持したラストベルトの労働者はアンチグローバリスト、ヒラリー・クリントン氏に代表される現状維持派、そしてトランプ政権で徐々に力を得つつあるネオグローバリストだ。(全10話中第6話)
時間:11分04秒
収録日:2017年5月16日
追加日:2018年1月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカ社会は三つどもえの構造になっている


 私は2016年末に『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』(PHP新書)という本を出したのですが、そこで今回の話に関連する大事な話を第1章に書きました。この2、30年間、ずっと続いてきた経済のグローバル化はもうすでに現実となり、後戻りしようのない形で世界を変えてきました。グローバリゼーションというリアリティは、もう動かないと思います。その上で、アメリカの大統領選挙ではっきり表れたのは、社会のリーダー層が三つどもえの構造になっているということです。すなわち、グローバリゼーションをめぐって、3つの立場があるのです。

 第1に、アンチグローバリストです。ラストベルト地帯などで、鉄鋼や石炭等の重厚長大産業に従事していたアメリカの中産階級の労働者たちは、グローバル化の影響でみんな職を失いました。彼らはものすごく不満をため込んでおり、大挙してドナルド・トランプ氏に投票したと言われています。

 第2に、ヒラリー・クリントン氏を代表とする、これまでのグローバル化をさらに進める、あるいはせいぜい現状を維持するという立場です。どちらかといえばアメリカの場合、経済界の主流もメディアの主流もこの立場を取っていました。しかし、彼らはグローバリストとして、右のトランプ陣営と左のバーニー・サンダース陣営に、挟み撃ちに遭ったのです。

 第3ですが、実はアメリカの指導層の中には分裂がありました。それは、グローバル化をむしろもっと積極的に進めていくべきだとする立場です。世界の秩序がどうなろうが、そんなことには関心がなく、むしろもっと利潤を上げることを追求すべきだ、という考え方です。サブプライム危機が起こり、リーマンショックになって、2008年には金融が規制されました。しかし、こうした金融規制を撤廃し、2008年以前の、規制のもっと緩い時代、あるいは1920年代のような規制のほとんどなかった時代に戻るべきだ、と主張しています。そうすればアメリカの経済は一気に活性化して、世界のお金をアメリカに集めることができ、一大投資が進むだろうというのです。これは、いわゆるヘッジファンダー(ヘッジファンドを動かしている人たち)、特に移民系の人に多かった主張です。

 具体的な人物でいえば、今、トランプ政権の一番の黒幕の一人といわれている、ジョン・ポールソン氏がいます。彼は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治