激変しつつある世界―その地政学的分析
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
トランプ政権が外交政策で錯綜している理由
激変しつつある世界―その地政学的分析(2)トランプ外交
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
歴史学者で京都大学名誉教授の中西輝政氏の分析によれば、外交政策でトランプ政権が錯綜するのには理由がある。政権には、孤立主義派、経済ファーストの現実主義派、そして世界で強いアメリカを求めるトランプ支持者という、3つの異なる傾向が混在しているのだ。ただし長期的には、アメリカは世界から手を引いていくだろう。(全10話中第2話)
時間:7分09秒
収録日:2017年5月16日
追加日:2017年12月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカにとって北朝鮮問題は日本問題でもある


質問 なぜアメリカは北朝鮮を問題にするのでしょうか。

中西 やはり北朝鮮に関しては、ドナルド・トランプ大統領の再選戦略と日米関係が絡んでくるでしょう。アメリカにとって、北朝鮮問題は日本問題でもあります。トランプ大統領は、日本を何とか盛り立てて、しっかりしてもらって、そしてヨーロッパ方面ではイギリスだけをぐっと引き寄せて、日本とイギリスをアメリカの両翼にしたい考えなのです。これは一種の海洋支配です。

 昔の言い方で言うと、大英帝国の時代には、こうした戦略はよくブルーウォーター戦略と呼ばれました。海だけを支配して陸には上がらない、陸の問題には関与しない、という立場です。陸というのは、この場合はユーラシア大陸です。昔の大英帝国の場合にも、ヨーロッパ大陸の問題には手を出さないという考え方がありました。

 第二次大戦前のアメリカは、ブルーウォーター戦略を採っていました。日本は反米軍国主義を掲げていましたから、パートナーにはできません。そこで中国です。他方ヨーロッパでは、イギリスをぐっと引き寄せておこうとしました。これが、アメリカの太平洋・大西洋の両洋に渡る戦略です。これによって世界で影響力を発揮し、貿易大国としても地位を保とうとしていたのです。


●トランプ政権のアメリカは収縮過程に入っている


 ただしマクロヒストリーからすれば、トランプ政権のアメリカは収縮過程に入っています。ジョージ・W・ブッシュ政権は、「世界に冠たる大米帝国だ」と言って、一極覇権主義を掲げ、力を誇示していました。ところが、イラク戦争やアフガン戦争で泥沼に入り、アメリカ外交が大転換します。さらに、リーマンショックが起きれば、大きな衰退構造がはっきりとしてきました。そこで、バラク・オバマ政権は「世界の警察官を辞める」と言ったわけですが、しかし今まで通りに世界秩序に関わって、右往左往してしまいました。

 こうした経緯があって、トランプ政権が発足しています。したがって、トランプ政権は本能的に「引く政権」です。世界から引いていくということが、反射神経の中にインプットされているのです。

 しかし、他方でトランプ政権の支持者は、「We are No.1」「USA.USA」と声を張り上げます。もちろん彼らは支離滅裂です。アメリカの雇用を取り戻せ、保護貿易にしろ、アメ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(3)「古くて新しい問題」と雇用の未来
AIは「失業」を増やすか減らすか…創造的破壊か?資本化効果か?
宮本弘曉
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫