「次世代地熱発電」の可能性
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
片瀬裕文(I-Pulse取締役副会長)
電気料金が家計を圧迫し続けている現在、再生エネルギーと脱炭素社会への期待がいよいよ高まる中、日本が資源で逆転できる可能性が、列島の地下に「地熱」として存在していた。そして今、「次世代型地熱発電」という新しい方式に注目が集まっている。次世代地熱発電は、従来型とどう違うのか。また、新たな方式、技術とコストのバランスは現実的なのか。第一人者が現状に加え今後の展望を語る。
時間:13分32秒
収録日:2025年11月10日
追加日:2026年1月7日
収録日:2025年11月10日
追加日:2026年1月7日
≪全文≫
●日本の地熱の未来を広げる「次世代型地熱」
こんにちは。片瀬裕文です。今回は「地熱革命の現状と今後」という(話をします)。地熱(事情)は実に大きく変わりつつあり、日本あるいは世界の主力電源になる可能性があります。そういう状況と将来について、お話をしたいと思います。
地熱というと、日本が世界で三番目の地熱大国であることは多くの皆さんがご存じだと思います。しかし、同時にほとんど開発が進んでおらず、実際に日本の発電量の0.3パーセントしか発電できていないのです。これはなぜだろうかと疑問を持つ方がたくさんいらっしゃると思います。
「日本の国立公園の規制が厳しいのではないか」、あるいは「温泉の事業者が反対しているのではないか」と思われる方が多いかもしれませんが、それは全く違います。これまでの地熱の発電方式が非常に限定的な場所でしか発電できないものだったということです。
そうした中、「次世代地熱」という新しい方式が現れています。従来の在来型と比較してみましょう。
在来型は地下に熱源があるだけでは不十分で、地下に蒸気などの流体がないところでは地上に熱源を運び出せないので、そこで発電できないという制約がありました。地下が浅くてかつ熱源があるというのは、その場所を非常に限定する条件になります。
次世代地熱は、地下の天然熱水に依存しないのが特色です。この図をご覧いただくと、EGSとAGSという二つの方式がありますが、いずれも地上から地下に水を入れ、それを温めて回収して発電していきます。
これらの方式では地下に天然の熱水がある必要がないため、利用可能な地熱資源が飛躍的に増大します。また、地下の熱水の流量に依存しないので、安定的な運転ができるということです。その結果として、金融機関もこのプロジェクトに非常に融資しやすくなる(バンカビリティ)ということがあります。
●IEA、米国政府、日本政府それぞれの展望は?
さて、この次世代地熱については、昨年(2024年)から世界でもアメリカでも大きな政策の見直しがありました。
まず、IEA(国際エネルギー機関)では、昨年(2024年)12月に「世界の次世代地熱による地熱発電資源量」を発表しまし...
●日本の地熱の未来を広げる「次世代型地熱」
こんにちは。片瀬裕文です。今回は「地熱革命の現状と今後」という(話をします)。地熱(事情)は実に大きく変わりつつあり、日本あるいは世界の主力電源になる可能性があります。そういう状況と将来について、お話をしたいと思います。
地熱というと、日本が世界で三番目の地熱大国であることは多くの皆さんがご存じだと思います。しかし、同時にほとんど開発が進んでおらず、実際に日本の発電量の0.3パーセントしか発電できていないのです。これはなぜだろうかと疑問を持つ方がたくさんいらっしゃると思います。
「日本の国立公園の規制が厳しいのではないか」、あるいは「温泉の事業者が反対しているのではないか」と思われる方が多いかもしれませんが、それは全く違います。これまでの地熱の発電方式が非常に限定的な場所でしか発電できないものだったということです。
そうした中、「次世代地熱」という新しい方式が現れています。従来の在来型と比較してみましょう。
在来型は地下に熱源があるだけでは不十分で、地下に蒸気などの流体がないところでは地上に熱源を運び出せないので、そこで発電できないという制約がありました。地下が浅くてかつ熱源があるというのは、その場所を非常に限定する条件になります。
次世代地熱は、地下の天然熱水に依存しないのが特色です。この図をご覧いただくと、EGSとAGSという二つの方式がありますが、いずれも地上から地下に水を入れ、それを温めて回収して発電していきます。
これらの方式では地下に天然の熱水がある必要がないため、利用可能な地熱資源が飛躍的に増大します。また、地下の熱水の流量に依存しないので、安定的な運転ができるということです。その結果として、金融機関もこのプロジェクトに非常に融資しやすくなる(バンカビリティ)ということがあります。
●IEA、米国政府、日本政府それぞれの展望は?
さて、この次世代地熱については、昨年(2024年)から世界でもアメリカでも大きな政策の見直しがありました。
まず、IEA(国際エネルギー機関)では、昨年(2024年)12月に「世界の次世代地熱による地熱発電資源量」を発表しまし...
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