平和の追求~哲学者たちの構想
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
川出良枝(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
「平和のための連合体」ははたして可能なのか。今回は会場からの複数の質問に答えていく質疑応答編。現代社会において「平和のための連合体」が実現していないとするなら、障害となっているものは何か。あるいは今後、理想的な連合体が出現する可能性はあるのか、などについて、川出氏が自身の考えを述べる。(2025年8月2日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分10秒
収録日:2025年8月2日
追加日:2025年12月23日
≪全文≫

●外部勢力の攻撃によって世界はまとまるのか


【質問】
平和の実現に関して、人類の力ではどうにもならない、例えば宇宙人のような外部勢力が攻めてくるというのであれば、世界はまとまると思いますか。

川出 確かにこれまでの歴史の流れということでいえば、対立していた諸勢力が外からの攻撃を経て1つにまとまるということは(あります)。まさに日本の開国ではあれほど内部で分裂していたのが1つに急速にまとまった。こういうことはあると思います。そもそも国民国家が成立するときに、なぜフランス革命が重要なのかというと、ナポレオンが登場し、それで内部で対立しても仕方がない、という話になってくるわけですね。

 ただ、そういう形で1つにまとまっても結局それは、今までの問題を外部に転嫁するだけであって、新たな敵に対して立ち向かうということなので、基本的にはリアリストの議論の延長線上にあるのかなと思います。

 だから、宇宙人が来ないという前提でいうならば、やはり外部に敵を設けることなく、むしろポジティブに自分たちが大きな共同体の中の一員として義務を果たしていく。ただ、カントを持ち出して義務云々と言っていますが、私は、それはそれほど大きな義務ではないと思います。

 先ほどEUはやりすぎだという話をしたのは、例えば食品添加物といったものは、多少体に悪くても、食べたいと思う人たちの自由を別に認めてもいいのではないか。そんなところまで統一する必要があるのか。そういう多様性が認められる領域はあると思うのです。

 ただ、戦争と平和の問題でいうならば、「紛争を武力で解決するのはとても無益である」というポイントに絞っていうならば、コンセンサスが得られる。つまり人類に対する義務として、自分とは言葉も文化も違う国民であっても、武力を使ってその命を奪うということだけはやってはいけないという形に置き換えればいい。

 そこに、なんでもかんでもみんな1つ、価値は1つ、人権は1つ(この人権も少し難しいところはあるのですが)と、そこまで広げてしまうと無力になってしまう。だから、いろいろな国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのではないか。本当に肝心な目的だけに特化するのであれば、わりとうまくいくのではないか。

 サン=ピエールの議論は、そういうところが面白い。「戦争をしなければみんな得になるよね。だからそこだけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(14)小宮山宏先生:知識の構造化のために
【10min名作探訪】テンミニッツ・アカデミーの意義と発想法
テンミニッツ・アカデミー編集部
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(2)朝鮮人への迫害と闘う
「万宝山事件」朝鮮人を迫害から救うべく決起し、満洲事変へ
小澤俊夫
知識の構造化のために(1)テンミニッツTVの問題意識
「知識の爆発」の時代、不可欠なのは世界の全体像の把握
小宮山宏
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(2)金本位制復活の現実味
金本位制復活の可能性は?…ネックは量の操作性、柔軟性
養田功一郎
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(5)陸軍悪玉論の中の名将たち
武力を持ったエリート官僚たち…陸軍悪玉論と個々人の決断
門田隆将
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎