学びとは何か、教養とは何か
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
教養の基本は「世界史」と「古典」
学びとは何か、教養とは何か
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
東京大学名誉教授の本村凌二氏が、学びとは何か、教養とは何かについて語る。本村氏によれば、教養の基本は世界史と古典である。そして、「学ぶ」という意味では、雑学も必要であるという。
時間:9分20秒
収録日:2018年2月8日
追加日:2018年5月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●「教養」と名の付くところを歩んできた


 私は30代半ばで大学教員になり、2018年3月末で早稲田大学を定年退職することになりました。今まで35年近く教えてきましたが、最初に就職したのは法政大学第一教養部というところで、その後、東京大学教養学部で28年ほど教えました。それから早稲田大学に4年間勤めたわけですが、そこは国際教養学部で、いずれも共通するのは「教養」という言葉が入っていたことです。ですから、私がいかに教養に恵まれていたか(これは冗談ですが)、そのような環境で私は教えていたということです。


●教養の基本は世界史と古典


 考えるに、教養の一番の基本は世界史と古典だと思っています。1つ目の世界史は日本史も含む人類の歴史です。人類の歴史は、人類が経験したことの集積です。

 われわれの人生はせいぜい80年ほどで、自分の父親や母親の経験を入れても、人間が自分の中で経験できることは100年ほどしかありません。一方、少なくとも文明ができて5000年はたちます。その5000年という人類の文明の歴史から、われわれの100年ほどの人生では直接経験できないことを数多く学べます。その意味で、世界史は非常に大事なファクターだと思います。


●古典の重要性


 もう1つの古典は、長い間に生き残ってきた作品のことで、ギリシャ、ローマ時代からあり、中国にも史記や三国志といった形で残っています。しかし、古典は古いものだけではなく、20世紀にも20世紀の古典がありますし、19世紀にも19世紀の古典があります。つまり、多くの人が読んでいるものの中には、くめども尽きぬ学ぶものがあるということです。

 最近はやっているという理由でちらっと読んでも、そうしたものは自分の人生の中に残りませんが、古典をきちんと読むと非常に残ります。少なくとも私はそうでした。

 古典の大きな柱としては、『イリアス』『オデュッセイア」、あるいはシェイクスピアがあります。また19世紀でしたら例えばトルストイの『戦争と平和』や、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟」もありますし、現代であれば20世紀のさまざまな作品があります。

 古典は小説、文学に限りません。例えばマルクスの『資本論』ですが、私は素晴らしい古典で、資本主義社会を構造分析するとき、ある意味で非常に的確な書であると思っています。ただ、そこから階級闘争と政治的に飛躍していくところは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ