葛飾北斎と応為~その生涯と作品
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
堀口茉純(歴史作家、江戸風俗研究家)
役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は、中風を患い、妻にも先立たれてしまう試練の時代でもあった。しかしそれを乗り越え、娘の応為(お栄)にも支えられて、さらに新たにベルリンで作られた藍色の染料(ベロ藍)なども大胆に導入して、『富嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」の高みへとさらに昇っていくのである。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分04秒
収録日:2025年10月29日
追加日:2025年12月6日
≪全文≫

●西洋画に踏み込む50代


―― 前回の講義で、50代までの北斎ということでお話を聞いてまいりましたが、それからどうなっていくかというところです。

堀口 はい。

―― また非常にこれまでの講義でも、大道芸的なことをやったり、町で描いたり、しかも絵のスタイルも西洋風を採り入れたり、日本画を採り入れたり、漫画のようなものを描いたりと、すでにもう多彩な北斎ですが、さてここからどうなるかというところです。

堀口 前回の講義のところで、『北斎漫画』という後世の西洋の芸術界に与えた影響が大きかった作品のお話をしました。この『北斎漫画』を描いた頃の北斎は、北斎の同時代に生きている外国人のファンもいたのです。

―― もうすでにそうなのですね。

堀口 そうなのです。こちらが、北斎が描きました、江戸の日本橋の長崎屋というところに滞在しているオランダ商館の一行、つまり外国人が江戸で滞在している場所を描いた1枚なのです。鎖国中でも日本と交流があったオランダの商館長は、普段は長崎の出島にいるのですけれど、4年ごとに江戸にやってきて、将軍に挨拶をするということになっていたのです。

 そのオランダ商館の一行に付いて江戸にやってきたドイツ人の医師のシーボルトという人がいまして、この人が大の浮世絵コレクターだったのです。ちょうどこの頃50歳を過ぎて、『北斎漫画』を出版し江戸の人気絵師であった北斎にもこの浮世絵を注文して、祖国に持ち出していたのです。

 シーボルトというと、日本史の授業的には伊能忠敬の日本地図を外国に持ち出そうとした、いわゆるシーボルト事件が起こって、国外追放になったということで有名です。つまり当時の日本人は外国人と接触を持つというのは、かなりリスキーだったわけです。ただ北斎はその危険を顧みずに、弟子たちとともにシーボルトからの制作を請け負って、娘の応為もそのうちの何点かを担当したと考えられています。

―― もう応為さんのほうもこの頃から関わっているのですね。

堀口 はい。制作には関わっています。

―― そういう形になるのですね。本当に前回の講義でも、いわゆるヨーロッパにおける浮世絵ブームの話もしましたが、もうすでにその下地というか、だんだんと少しずつヨーロッパに出ていくという局面になってきたわけですね。

堀口 そうなのです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀