これから必要な人材と人材教育とは?
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
3.もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
2026年2月12日配信予定
圧倒的な人手不足の時代を迎えている現在、需要はあってもそれに供給が追いついていないのが現実である。企業が人材を確保し、着実に育てていくためには何が必要なのか。また、人手不足がマクロ経済にインパクトを与えてしまうというが、それはなぜか。まずは現状把握を進めながら、人手不足という課題について「Oリング・セオリー」という理論も交えながら考える。(全3話中第1話)
時間:8分32秒
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年2月11日
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年2月11日
≪全文≫
●圧倒的な人手不足の時代――需要不足ではなく供給不足
今、圧倒的な人手不足の時代なので、この人手不足時代をどう乗り切るかというのがすごく大事だと思っています。
少しだけ申し上げると、今いわれているのは需要不足ではなくて、供給不足です。なので、供給不足の時代に需要を引き上げると、当たり前のことなのですけれど、価格が上がっていくということになるので、インフレがますます進むのではないかと言われていて、それが心配されているということです。一応、政権としても需要拡大だけではなくて、供給力強化という話で「成長戦略」といっているのです。
ただ、供給力をどうやって拡大させるかというと、これは残念ながら安全保障にお金をどれだけ注ぎ込んでも、国全体の供給力拡大にはつながらないので、供給力拡大において非常に大事なところは人手不足を解消することです。
人手不足の解消にはいくつかのパターンがあるのです。1つは、今十分に働けていない人に働いてもらう。あるいは今、能力が十分にない人にしっかり能力を高めてもらって、1人の人が今まで以上にたくさん働けるようにする。生産性を上げていくことです。
それからもう1つは、マッチングを解消するということです。人手不足の時代といいますが、人が余っているところはいっぱいある。要するにまだら模様なのです。足りないところは足りないし、余っているところは余っている。これから起きることでますます重要だと思うのは、大事な人材ほど足りなくなるという時代が起きるので、ここをしっかり増やしていかなければいけないということです。それができるのは何かというと、人的投資であり、リスキリングです。こういうことをやって能力を高めていくしかないのです。
●肝要なのは現状把握とスキルの評価
企業の側からすると、この人材投資と人材育成をしっかり考えていくわけですが、やはりその前に必要なことは、先ほども言いましたが「現状把握」だと思うのです。
これも多くの会社さんに申し上げていることなのですけれど、人的投資になると突然、現状把握なしに投資ばかり増やしている。「いや、もっと」と国が言うと、「どんどん教育しなければ」「人的投資を増やさなければ」ということになるのです。
でも、それは少し間違っています。例えば、物的資...
●圧倒的な人手不足の時代――需要不足ではなく供給不足
今、圧倒的な人手不足の時代なので、この人手不足時代をどう乗り切るかというのがすごく大事だと思っています。
少しだけ申し上げると、今いわれているのは需要不足ではなくて、供給不足です。なので、供給不足の時代に需要を引き上げると、当たり前のことなのですけれど、価格が上がっていくということになるので、インフレがますます進むのではないかと言われていて、それが心配されているということです。一応、政権としても需要拡大だけではなくて、供給力強化という話で「成長戦略」といっているのです。
ただ、供給力をどうやって拡大させるかというと、これは残念ながら安全保障にお金をどれだけ注ぎ込んでも、国全体の供給力拡大にはつながらないので、供給力拡大において非常に大事なところは人手不足を解消することです。
人手不足の解消にはいくつかのパターンがあるのです。1つは、今十分に働けていない人に働いてもらう。あるいは今、能力が十分にない人にしっかり能力を高めてもらって、1人の人が今まで以上にたくさん働けるようにする。生産性を上げていくことです。
それからもう1つは、マッチングを解消するということです。人手不足の時代といいますが、人が余っているところはいっぱいある。要するにまだら模様なのです。足りないところは足りないし、余っているところは余っている。これから起きることでますます重要だと思うのは、大事な人材ほど足りなくなるという時代が起きるので、ここをしっかり増やしていかなければいけないということです。それができるのは何かというと、人的投資であり、リスキリングです。こういうことをやって能力を高めていくしかないのです。
●肝要なのは現状把握とスキルの評価
企業の側からすると、この人材投資と人材育成をしっかり考えていくわけですが、やはりその前に必要なことは、先ほども言いましたが「現状把握」だと思うのです。
これも多くの会社さんに申し上げていることなのですけれど、人的投資になると突然、現状把握なしに投資ばかり増やしている。「いや、もっと」と国が言うと、「どんどん教育しなければ」「人的投資を増やさなければ」ということになるのです。
でも、それは少し間違っています。例えば、物的資...
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