●「VUCAの時代」、3つの大きな流れがある
皆さん、こんにちは。ライフシフト大学の徳岡晃一郎と申します。
これから「ライフシフト概論」というテーマでお話をしていきます。人生100年時代、皆さんのキャリアをどのように作っていくのかというご自身のテーマでもありますし、マネジャー等をされている人は、そういった世界の中で部下たちをどう育成していくのかということがテーマになってきます。ぜひ、いろいろと学んでいただければと思います。
今回は、その1ということで「人生100年時代のインパクト」について、まずお話をしたいと思います。
現在は「VUCAの時代」といわれています。皆さん、ご存じでしょうか。“Volatility”“Uncertainty”“Complexity”“Ambiguity”ということで、頭文字を取って「VUCA(ヴーカ)」と読みます。世の中が非常に変化していて、かつ不透明で、あいまいで、何が正しいことなのかもよく分からない。基本的に今までどおりにはいかないということで、意思決定をするにしても非常に大変な時代になってきているわけです。
そのような中、ここにも少し書いたように、いろいろなことが起きてきているわけです。
特に直近でわれわれに関わってくる大きな流れは3つあると思っています。1つ目が人生100年&人口減少。それから、人工知能革命とDX(デジタルトランスフォーメーション)。3つ目がポストコロナの新常態ということです。これらについて、簡単にお話をしたいと思います。
●人口減少の中、寿命は伸びていく時代
まず、1つ目の「人口減少時代」という時代認識です。ご承知のように日本は、2008年に人口のピークを迎えました。それ以来かなりたちますが、どんどん人口は減っていて、2021年には1億2278万人といわれています。さらに出生数(赤ちゃんの生まれる数)もどんどん少なくなっていて、これから2030年を経てどんどん減っていきます。2053年には、とうとう1億人を割り込むといわれています。このままでいくと、日本人は消滅するともいわれているぐらいです。
そのような時代の中で、われわれは年を取っていくということです。周りに若い人がいなくなる中で、自分たちだけがどんどん高齢化していく。そうなると、スライドの下の段にあるように、高齢化による社会の脆弱化が進みます。いろいろなサービスや市場の作り手もいなくなるということで、社会がどんどんシュリンクしていき、自分たちで生きていかなければならない時代になっていくということです。
実際、このように見てみると、寿命はほんの少しずつですが長くなっています。これを見て、ご自身が何歳まで生きるのかということをぜひ考えていただきたいと思います。
ちなみに私は今年(2022年)で65歳になりますが、(ライフシフトの提唱者である)リンダ・グラットン氏の説によれば、おそらく(人の平均寿命は)95歳ぐらいまではいくだろうと推測されています。
このグラフにしてみると、それもよく分かる感じがします。ずっと右肩上がりの直線で寿命が延びているからです。
今生まれたばかりの人の平均寿命が女性87歳、男性81歳。生き残っている人が健康であれば、もっと長くなるわけです。そういったことを重ね合わせると、私が95歳ぐらいまで生きることもあり得ることだと思いますし、私よりも若い視聴者の皆さんはもっと生きられるだろうということです。
これをどう捉えるか。うまく生き延びていく、あるいはサバイバルしていくことができるように、自分をどうつくっていくのかが非常に大きな問題になるだろうということは、すぐ分かっていただけると思います。
●予測できない未来社会で問われるレジリエンス、一つの解が「働くこと」
先ほど高齢化によって社会が脆弱化していくという話をしましたが、河合雅司氏は『未来の年表』(講談社現代新書)という著書に、いろいろな事例を掲載しています。ぜひ読んでいただきたいと思いますが、今は想定しにくい、笑い話のようなことさえ未来社会では起きるということです。
今は笑い話で済むようなことが自分たちの身に降りかかってくると、いかに自分のレジリエンス(復元力)、言い換えれば「VUCAの時代」において自分を生き延びさせていく力をいかに蓄えていくかが非常に大きな問題になってくるということです。
その1つのソリューションとして、「働く...