ルネサンス美術の見方
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マザッチョ…遠近法を生み出したルネサンス絵画の創始者
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ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
池上英洋(東京造形大学教授)
ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や、十字軍、貨幣経済の進展による商人の台頭など、多面的な文脈から明らかになる。(全8話中第1話)
時間:10分39秒
収録日:2019年9月6日
追加日:2019年10月31日
≪全文≫

●ルネサンス芸術とは何か


 はじめまして。東京造形大学で美術史を担当している、池上英洋と申します。これから、「ルネサンス美術とはいったい何であるか」ということをお話しさせて頂きます。個別の画家に入る前に、まずルネサンス美術、あるいはルネサンスとはどうやって始まったかということを説明します。

 まず、ルネサンスについてです。この語は、「Renaissance」というフランス語から来ています。もともとはヴァザーリという最初期の美術史家、つまりわれわれの先祖に当たるような人が『美術家列伝』というものを書き、その中で「rinascita」という言葉を使ったことが始まりです。これはイタリア語で「再び生まれる」という意味の動詞の名詞形です。ようするに「再生」ということです。

 何が「再び生まれる」のでしょうか。これについては、割と多くの大学生が、「古代ギリシャ・ローマの芸術と思想である」と答えることができます。しかし、「それではなぜその時に古代ギリシャ・ローマの文化が復活しないといけなかったのか」という質問になると、もうほとんどの人が黙ってしまいます。そこで、このことについて、一緒に画像を見ながら整理していきましょう。


●ルネサンス以前、イタリアは群雄割拠の状況だった


 まずは当時の状況です。実は、イタリアは日本とよく似ています。長い間、イタリアは小さな都市国家に分裂した状態でした。そして、それぞれがお互いに覇権を競うというような状態にありました。例えば、皆さんご存じのローマ、ベネチア、ミラノ、フィレンツェ、ナポリといった都市は全て、別の国でした。そして、それぞれが独立国として覇権を競っているという、群雄割拠の状態です。それがまずルネサンスを迎える直前の状況です。


●十字軍により、中東地域の文化を摂取した


 ルネサンスが生まれた最大の要因を一つ挙げるとしたら、それは十字軍です。十字軍は、もちろんルネサンスよりも数百年も前に始まりました。皆さんご存じのように、キリスト教徒が、イスラム教徒に奪われた聖地イスラエル(エルサレム)を、取り戻しに行くという運動でした。何度も挑戦して、最終的には失敗に終わります。ただそこで、中央ヨーロッパからイスラ...

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