徳と仏教の人生論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
「般若とは何か」――20歳の時、仏教学者・秋月龍珉から「仏法とは般若だ」という命題を受け、長年般若について探求してきた田口氏。般若とは「無分別知」、すなわち知識ではなく直感的理解であると説く。そして、東大名誉教授で仏教学者である玉城康四郎の「全人格的思惟」という考えとも通じ、禅や瞑想を通じて体験した境地が、宇宙の実相、すなわち全体性の感得に到達していくことになる。今回は、全ては「宇宙の理法・運・徳」に帰結するという本質について考察していく。(全6話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
時間:14分22秒
収録日:2025年5月21日
追加日:2025年10月31日
≪全文≫

●仏法と般若の命題を解く機会が訪れた


田口 私が20歳のとき、たまたま大学の同じクラスに坊さんの息子が5人いて、彼らはみな、自分の宗派が一番だと討論していたのですが、そのジャッジを私にしてくれと言うわけです。

 それで1年間、各宗派のどこがすごいという話を聞いては、「おまえのところが一番かもしれない」とか適当に言っていたときに、臨済禅が一番という人間がいて、自分がここで何かを発するよりも、ある人間に会ってもらえば一番よく分かるということで、連れていかれたところがあるのです。それが秋月龍珉(りょうみん)で、彼のところに連れていかれたのです。

── すごいですね。

田口 私は当時、秋月龍珉という人がどういう人か知りませんから、生意気の極致で、会いに行ったわけです。それで、坐禅の手ほどきなどを受けたりしました。その間、3回ぐらいしか会っていませんでしたけれど、毎回そこに2時間ぐらいいたと思いますが、その最中も彼は、いつも言っていることがありました。それがまた命題です。

 彼は何と言ったのかというと、「君たちは、葬式だ、法事だ、そういうことを仏教というけど、仏教なんてそんなところにはないんだ。間違ってもそれを仏教だというなよ」と。また次は、「輪廻転生なんてものはないんだよ。そんなものを仏教というなよ」、そういうふうに彼は言うのです。もう毎回言うわけです。われわれ素人が知っている仏教といったら、葬式仏教とか、そういうものしかありませんが、それを全部否定するわけです。

 そこで私は、それほどに否定するのならば、そこには解答がなければいけないと思い、「何を仏法と先生は言っておられるんですか」と聞いたら、「摩訶般若波羅蜜多(まかはんにゃはらみった)だよ。それしかないんだ」と、彼は言ったわけです。次に行ったとき、「先日、摩訶般若波羅蜜多だと言われましたが、もうちょっと何かヒントをいただけませんか」と言いました。

 そうしたら、「般若という意味をちゃんと君が知ってから答えてやる」と言うのです。しかし、それきり会わなかった。ずっと会うチャンスがなかったのです。ですから、私の蓄積されている命題の中に、秋月龍珉からいわれた、「仏法は般若だ」「般若とは何か」という命題が残っていたわけです。そして、これまでの命題が全部開く機会になったとき、これも開くのではないかと思い、思考を重ね...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(1)曖昧になった日本人の「自然」
小林秀雄から福田和也まで、日本の文芸批評史を俯瞰する
浜崎洋介

人気の講義ランキングTOP10
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(18)4種の「利き脳タイプ」分析
【10min解説】最終話に注目!4種の「利き脳タイプ」分析
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(2)60%雇用が影響を受ける
雇用の60%にAIの影響が…「わかってから動く」では遅すぎる
宮本弘曉
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
三谷宏治