法隆寺は聖徳太子と共にあり
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
聖徳太子は「皇太子」だったことを忘れてはならない
第2話へ進む
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
大野玄妙(法隆寺第129世住職、聖徳宗第6代管長)
日本人ならば誰もが、法隆寺を建てたのは聖徳太子だと知っている。しかし、法隆寺と聖徳太子の関係は、私たちが想像している以上に深く、また謎のままの部分も多い。聖徳太子が残した法隆寺は、現代に生きる私たちに何をもたらしたのか。法隆寺管長・大野玄妙氏が、軽妙なそして含蓄ある言葉で、法隆寺と聖徳太子の関係を語る。(全8話中第1話)
時間:8分27秒
収録日:2016年3月9日
追加日:2016年10月1日
≪全文≫

●条件付きの「和」、無条件の「和」


大野 皆さん、こんにちは。今日は足元の悪い日ですが、ようこそ法隆寺へお参りいただきました。どういうお話をさせていただこうかなといろいろ考えたのですが、その時の都合でどこへたどり着くか分からないやり方、例えて言えばボートピープルのようなやり方の方が面白いかなと思いました。

―― 日本が宗教的に平和だったのは、聖徳太子が仏教を取り入れたことが関係しているのではないか。日本の歴史と聖徳太子の志にはどのような関係があるか。

大野 皆さんもよくご存知のように、聖徳太子さんといえば、「和を以って尊しとす」という和の精神を提唱し、これを広めた方です。

 ではその「和の精神」とは一体何か。よくご存じのように、この「和を以って尊しとす」という言葉は、実は中国の『論語』、そして『礼記』からの出典で、太子さんはこの言葉を引用したのではないかということが昔からいわれています。

 そこで『論語』をきちんと読んでみると、これは礼の働き、「礼の用は~」というように書かれています。つまり『論語』が述べているのは、「条件付きの和」なのです。要するに、世の中の秩序や上下関係など、そういったものが正しく機能するためには、皆で仲良くしなければならない。だから和が必要である。こういう考え方が、もともとの中国的な和の考え方です。

 では聖徳太子さんの和とは、一体何か。実はこの和は、いきなり「和を以って尊しとす」と出てきます。つまりこれは、「無条件の和」です。条件がありません。そうすると、その無条件の和とは一体何か。それを考えてみるには、まず私たち日本人が、どのような生活をし、どのように現在の状況まできたかという歴史をたどる必要があるかと思います。そして、その歴史をたどる前には、聖徳太子さんよりもはるか以前から考えていかなければならないと思います。


●日本の地理環境が「和」の精神を生んだ


大野 それはすなわち、私たちが置かれていた周囲の環境です。これはもういうまでもなく、海に囲まれた狭い地域であるということです。日本列島は、北海道から九州、沖縄まであるわけですが、ここは比較的、人類が生活しやすいような環境下にありました。そういう環境下にありつつ、しかも海に囲まれて、周囲から隔離をされています。当然、日本の人々は、単一の民族ではないことは誰しも分かって...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(1)批判精神と『夢記』
法然の専修念仏を批判…明恵の「あるべきようは」とは?
賴住光子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(5)AIを最も活用できるのは誰か
実はベテラン層こそAIを存分に活用できる…AI導入の生産性分析
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(16)宮本弘曉先生:AI大格差
【10min解説】宮本弘曉先生「AI大格差」仕事と給料の未来
テンミニッツ・アカデミー編集部
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(5)東洋的リーダーシップ
『貞観政要』が人気…日本の経営幹部研修で好まれる理由
三谷宏治
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
ウェルビーイングを高めるDE&I(4)人的資本経営の核となるDE&I:後編
日本は不寛容な国か?完璧主義の弊害とDE&Iを進める必要性
青島未佳
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎