法隆寺は聖徳太子と共にあり
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
焼失した法隆寺を再建したのは誰か? 歴史の謎に迫る!
法隆寺は聖徳太子と共にあり(5)法隆寺最大のミステリー
大野玄妙(法隆寺第129世住職、聖徳宗第6代管長)
法隆寺には未だに多くの謎が残されている。その中で最大のミステリーは、「誰が消失した法隆寺を再建したのか」というものだ。法隆寺管長・大野玄妙氏によれば、聖徳太子の行ったある行為が、法隆寺再建のカギとなった。そしてそれは、法隆寺だけでなく奈良にある寺院にも共通したものだった。(全8話中第5話)
時間:15分45秒
収録日:2016年3月9日
追加日:2016年10月29日
≪全文≫

●誰が焼失した法隆寺を再建したのか


 さらにもう一つ、ここで重要なことがあります。「釋像の尺寸王身なるを造るべし」とあります。これは何を意味するのか。この金堂におられるお釈迦さんは、実は聖徳太子さんなのです。法隆寺でお祀りされている本堂に匹敵するものとは、金堂です。金堂のご本尊は、お釈迦さんの姿をした聖徳太子なのです。

同時にもう一つ、夢殿のご本尊も観音さんの姿をした聖徳太子です。つまり法隆寺は、全ての仏様が聖徳太子さんと関わっているのです。これが非常に重要なことです。法隆寺が、なぜ現在までこうやって残ってきたのか。これも、やはり本尊が聖徳太子であることが非常によく関わっていると思います。

 ではそうすると、皆さんは不思議に思われることがあると思います。法隆寺は、お父さんの用明天皇のために、607年に建立されました。聖徳太子が推古天皇と建てたのです。ところが、Bの4番に書いているようにこの法隆寺は焼けてしまいます。「夏四月の癸卯の朔壬申、夜半之後に、法隆寺に災り。一屋も余ること無し。大雨ふり雷震る」とあります。要するに、天智天皇9年の670年に、法隆寺は全焼したと記されています。

 その全焼してしまった法隆寺は、紛れもなくお父さんの用明天皇が自分のために造った法隆寺です。しかし現在の法隆寺は、そのお父さんが亡くなったのでその供養のためにその後も工事を続行し、そして亡くなった翌年にできたものです。それが、今の本尊になっています。

 これが、法隆寺における大きなミステリーの一つになっています。670年に焼けた後、この法隆寺は一体いつごろ再建されたのでしょうか。この焼失の時に、お釈迦さまはどこにあったのだろう。このようにいろいろと問題が出てきます。

 いずれにせよ、宗教的なものの言い方をするならば、ここで大きく法隆寺の生き方が変わったのです。それまでは、お父さんの病気平癒のためのお寺だったけれど、この像ができた時点以降、法隆寺は聖徳太子さんを敬賛し、供養する。そうした目的のため、そして聖徳太子の思想や理想を世の中に広めるためにある。それ以外にはないのです。このように寺の性格が変わったわけです。


●復興の貢献者1:貴族の女性たち


 皆さんもよくご存知のように、643(皇極2)年、夢殿におられた聖徳太子さんの一族である上宮家が、蘇我入鹿の焼き討ちに遭い、上宮家は滅亡...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎