東大寺建立に込められた思い
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
東大寺の昔の宗派は八宗兼学ー最高の仏教大学としての歴史
第2話へ進む
東大寺には大仏開眼以来1200年以上続く修二会の行法がある
東大寺建立に込められた思い(1)千二百年有余の伝統
北河原公敬(東大寺長老)
東大寺長老である北河原公敬氏が、大仏造立の歴史的背景、そして発願した聖武天皇の「思い」を語る。東大寺では創建以来、修二会の行法が途切れることなく続けられてきた。今年(2016年)で1265回目を数える。修二会で祈るのは、生きるものの幸福だ。ここに、聖武天皇が大仏の造立へと至った経緯が深く関係している。(全7話中第1話)
時間:11分07秒
収録日:2016年3月8日
追加日:2016年11月26日
≪全文≫

●1200年以上続く東大寺・修二会の行法


 北河原と申します。今は東大寺の長老です。長老とは、簡単にいえば隠居の身であるということです。数年前まではそういうことでした。しかし私どもの寺は、名前こそ東の大きな寺といって大きいのですが、中身は小さいものですから、長老でも元気ならばこき使わないといけないということになりました。今はこの施設、東大寺総合文化センターの総長ということになっています。楽隠居といったら言葉は悪いですが、昔でしたら長老はそういう立場だったのですが、今はそういうわけにもいきません。これもしょうがないなということです。

 実は私、今日は少し寝不足気味です。ご承知の通り、ただ今私どもの寺は、修二会(しゅにえ)、つまり、お水取りの行法(ぎょうぼう)の最中です。このお水取りの行法は、今年で1265回目を数えています。一度も途絶えずに、連続で1265回ということです。

 東大寺の大仏さまが造られて開眼(かいげん)をされました。すなわち聖武天皇によって詔が出されて、発願されてできたわけです。その大仏さまが完成し、開眼法要の行われた年(天平勝宝4年)に、修二会の行法が始まり、今年で1265回目となるのです。

 学者の方のお話によりますと、こういう形態で1265回も絶えずにずっと続いていることは、まず他に例がないのではないかということです。もっとも、もっと古くから始まり、一旦途絶えてまた復活したものはあるようですが、こうしてずっと続いているものはまず珍しいだろうと聞いています。

 1265回も続いてくる間には、もちろん東大寺そのものの存亡の危機という時は、何回かありました。有名な話では、源平の戦いです。つい何年か前、大河ドラマは『平清盛』でした。あの平清盛の息子である平重衡(たいらのしげひら)によって、この南都、奈良は灰燼に帰すのです。東大寺も例外ではありませんでした。

 ただ幸いに、現在、修二会の行法が行われている二月堂は被害に遭わなかったのです。そのような時であっても、この行法は続けています。ただ、さすがにその際には、衆議(しゅうぎ)で、「とても行を続けることは無理だろう。やめよう」と決めたそうなのです。しかし有志が集まって、せっかく先人が苦労して続けてきた行を、われわれの代で途絶えさせるわけにはいけないということになり、必要なものをかき集めて行をしたそうです。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望