東大寺建立に込められた思い
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
東大寺は「勧進帳」でも話題!復興に力を尽くした源頼朝
東大寺建立に込められた思い(5)「一枝の草」を持て
北河原公敬(東大寺長老)
聖武天皇が東大寺の建立で呼び掛けたのは、心からの誠意を持ってそこに参加せよということだった。そうであれば、たとえ微々たる力しか提供できなくても構わない。ここに、東大寺建立の大きな意義があったと、東大寺長老・北河原公敬氏は語る。そしてこの精神は、建立以降の時代にも受け継がれた。(全7話中第5話)
時間:10分26秒
収録日:2016年3月8日
追加日:2016年12月24日
≪全文≫

●造立のプロジェクトに必要なのは、誠意だ


 「天下の勢を有つ者は朕なり。此の富と勢を以って此の尊像を造らば」、次がこの天皇の思われるところです。「事や成り易く、心や至り難し」というのです。自分の権力や富によって大仏さまを造ろうとして事業をやったならば、形の上では簡単である。だがそれは、天皇の意図したところとは違う、つまり天皇が意図としていることを本当に成就するのは困難だということです。天皇の思っているようなことにはならないと言っています。

 そして「但恐るらくは」ですが、恐れるのは「徒に人を労すること有りて、能く聖を感ずること無く、或いは誹謗を生じて、反って罪辜に堕さんことを」で、「徒に人を労すること有り」、つまり先ほどのように自分の富と権力を使うやり方をしたのでは、ただ徒に人々に苦労を科すばかりで、「能く聖を感ずること無く」、すなわち聖の心を理解させることができない、ということです。そして「誹謗を生じて」は、そういう謗りを起こさせてしまうということで、「罪辜に堕さんと」、つまりついには罪に落ちる者が出てくることがあるといいます。

 「是の故に知識に預かる者は、懇ろに至誠を発し、各介福を招き、宜しく日毎に盧舎那仏を三拝し、自ら当に念を存し、各盧舎那仏を造るべし」。知識に預かる者、すなわちこの大仏造立という事業に参加する者は、「懇ろに至誠を発し」(心からなる誠意を持って)、「各介福を招き」(大いなる幸せを招き)「宜しく日毎に盧舎那仏を三拝」(1日心の中で盧舎那仏を拝みなさい)ということです。「三拝し、自ら当に念を存し、各盧舎那仏を造るべし」、つまり三拝をし、そして盧舎那仏を拝むといわれます。


●たとえ微々たる協力であっても、分け隔てなく受け入れる


 「如し更に人有りて、一枝の草、一把の土を持て、像を助け造らんと情に願わば、恣に之を聴せ」。これがまた、この詔の中では重要なところです。これは、知識として参加してもらうための勧誘のくだりになります。「如し更に人有りて、一枝の草、一把の土を持て、像を助けん」。たとえわずかな力であっても、「一把の土」、つまり自発的に大仏さまのこの造立に参加しようとする人は、誰でも許可するという姿勢です。

 ここにも、大仏さまを造ろうという一つの意義があるかと思います。つまり、一枝の草や一把の土は、本当に微々たるものです。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄