東大寺建立に込められた思い
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
東大寺大仏建立の理由ー聖武天皇のいう「菩薩の精神」とは
東大寺建立に込められた思い(3)あまねく発展を願う
北河原公敬(東大寺長老)
大仏造立の際に聖武天皇が出した詔では、何が語られているのか。東大寺長老・北河原公敬氏が解説する。聖武天皇は、自らを菩薩になぞらえ、この世の全てを慈しもうとした。菩薩とは、自分以外のものにも手を差し伸べ、一緒に救われようとする存在だ。北河原氏は、現代にも同じことが重視されるべきだと語る。(全7話中第3話)
時間:18分19秒
収録日:2016年3月8日
追加日:2016年12月10日
≪全文≫

●大仏造立の詔に見える、聖武天皇の思い


 では大仏造立の詔に入ろうと思います。これは『続日本紀』の中に出てくる記事をそのまま転用しています。「大仏さまにこめられた思い:一枝の草、一把りの土」というタイトルを書きました。原文の書き下し文を書いてありますので、それをお読みいただけたらと思います。

 詔は、「朕薄徳を以って、恭しく大位を承け、志兼済に存して勤めて人物を撫す」という言葉で始まります。朕は、もちろんお分かりだと思いますが、聖武天皇ご自身のことです。「薄徳をもって」、つまり聖武天皇は、ご自身が自分のことを徳が薄いと思っておられるのです。自分自身は徳が薄い、にもかかわらず、「恭しく大位を承け」た。天皇についておられるわけですから、大位とは天皇の位を意味します。自分は徳がない、徳が薄いにもかかわらず天皇の位に就いているということです。そして「志(こころざし)兼済に存して、勤めて人物を撫す」ですが、志としては、あらゆるもの、全てのものを救おうとしてきた、人やモノの全てに、ご自身は努めて慈しみをかけてこられたと言われています。

 そして「率土の浜すでに仁恕に霑うと雖も、普天の下、未だ法恩洽からず」と言われます。「率土」とは、地面、地の続く限り、地平線の果てまで、です。「仁恕(じんじょ)に霑(うるお)うと雖も」は、先ほどの言葉と同じで、思いやりや憐れみなどの心が、ずっと地の続く限りすでに潤っている、ということです。しかしそうはいっても、「普天の下、未だ法恩(ほうおん)洽からず」、つまりそういう思いやりの心や憐れみの心が行き渡っていたとしても、天下全てに「未だ法恩洽からず」。この法恩とは、実は仏法の恩のことです。仏法の恩が行き渡っていないといっているのです。

 法恩とは、仏の教えです。仏の教えのそれが行き渡っていない。つまり聖武天皇という方は、先ほど紹介したように、華厳経を自ら聞かれるくらいの方ですから、仏教に対して非常に心を寄せておられたのです。歴代の天皇では、仏教を重要視された天皇もおられたのですが、聖武天皇という人は、神道に対してだけでなく、仏教に対しても非常に心を寄せておられました。ですから、何事も為政者として携わられるときには、この仏教、仏法を念頭に置いておられました。天皇としては、聖武天皇が、歴代では最も仏教に重きを持っておられた、仏教を取り入...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫