東大寺建立に込められた思い
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「無財の七施=七つの施し」で身につく菩薩の精神とは?
東大寺建立に込められた思い(7)「無財の七施」
哲学と生き方
北河原公敬(東大寺長老)
聖武天皇が目指した菩薩は、現代でも可能なものだ。東大寺長老・北河原公敬氏はそう語る。そのために必要なのは、見返りなど期待せず、他者に手を差し伸べることだ。それは毎日の、ほんの少しの心掛けでよい。東大寺建立の思いを語ってきた北河原氏が、現代にも通じる「施し」の極意を伝授する。(全7話中第7話)
時間:14分15秒
収録日:2016年3月8日
追加日:2017年1月7日
≪全文≫

●手の差し伸べるときに大切なのは、「見返りを求めない」ことだ


 われわれも皆、菩薩になれるのです。誰でもなれるのです。それは、心掛け次第です。東北の震災から5年たちましたが、あの時に、あれだけの大勢の人々が菩薩の心を発揮され、ボランティアという形で活動されました。自分とは本当は関係ないけれども、被害に遭った人たちに手を差し伸べられて活動をされました。あの思い、あの心は、素晴らしいことだと思います。そのことを、日頃の行いにも活用していただく。

 そのことで皆さまにお勧めするのは、簡単なことです。菩薩とは手を差し伸べるものだと言いました。あるいは、相手を思いやることです。一方で「施し」という字がありますが、あれは布施行、布施なのです。

 布施とは、町寺さんだったら「お布施」という言葉もあり、もちろん金品のことも言いますが、元来は施しのことです。つまり施すとは、手を差し伸べるということなのです。相手の立場に立って、何かをすることです。

 施しは、決して見返りを求めるものではありません。見返りを期待してするものではないのです。対価を期待してするものではないのです。施しは、捨て去ることと同じです。「これをしてやるから、何かをくれよ」とか「お前が何かしろよ」というものではないのですね。あくまでも布施、施しは、対価を期待するものではないのです。

 ボランティア活動もそうですね。見返りを得るためにボランティアに行くわけではありません。助けに行く、手助けするのも、菩薩であり、布施行なのです。この布施行を普段から心掛けるということが大切です。そうすれば、菩薩の心、菩薩の精神、そういうものも、自ずと身に付くといわれます。


●「無財の七施」のススメ


 そのために、よく勧められることがあります。それが「無財の七施」といわれるものです。「七つの施し」ともいいますが、無財とある通り、お金は要りません。心掛けでできる施しです。それを日頃から、私たちが心掛けていれば、自然と菩薩の気持ち、心、菩薩の道、それが養われるといわれます。眼施、和顔施、言辞施、身施、心施、床座施、房舎施の七つです。これを普段から実践していれば、菩薩の心が養われるのです。

 最初は、眼施(げんせ)。眼です。もうお分かりの通りだと思いますが、人と接したとき、相手を睨みつけていたのでは、相手だって睨み返して...

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