日本の財政と金融問題の現状
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「政治は情、役人は理」…後藤田正晴が示したバランス感覚
第2話へ進む
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
木下康司(元財務事務次官/株式会社日本取引所グループ取締役会議長)
GDP比の債務残高が世界的に見てもかなり高い日本の財政状況。そのような状況にあって、他方では、日本は本当に財政不安なのかという意見もある。日本の財政状況を今一度正確に把握し、財政赤字がもたらす将来世代へのリスクや財政再建にまつわる政治的困難について考える。(全4話中第1話)
時間:19分25秒
収録日:2025年4月13日
追加日:2025年6月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●財政再建について考え続ける必要がある


 私は財務省で35年間勤務しまして、主計局とか、金融関連部局が長かったのですが、その後、DBJ(日本政策投資銀行)とか、今はJPX(日本取引所グループ)におりまして、予算とか、マクロ経済とか、国際金融とか、いろいろ経験をさせていただきました。その中でも私のライフワークは、いろいろ考えてみると、やはり財政再建だと考えております。

 しかし、2014年に財務省を離れて以来、あまり財政再建の話はしてきませんでした。と申しますのは、その当時それを話しても「またその話か」みたいに思われましたし、赤字にかまわずどんどん国が金を使うのが正しくて、それに抵抗する役人というのは小役人であるという雰囲気が、今でもあるのかもしれませんが、広がっていました。

 役所を離れて11年たちますけれど、やはりこの話はし続けなければいけないなと、最近は特に思っております。それから金利が上昇し始めて、少し変わってきたかなという気もいたします。

 今回はそういうことで、財政赤字というのはどの程度心配すべきなのか。それから2番目は、日本の金融問題とそれがどう関係してくるのかについてお話ししたいと思うので、分からない点があったり、途中でもさえぎってご質問いただければと思います。


●議会は税のためにある


 まず財政赤字の話からさせていただきます。私は昭和54(1979)年に旧大蔵省に入って、最初に配属されたのが主計局総務課企画係というところで、ここは予算全体の参謀本部みたいなところでして、入省した昭和54年は、いわゆる国債依存度が過去最高に達した年だったのです。ちょうど第2次オイルショックで、昭和50(1980)年がたしか9パーセントぐらいの国債依存度が、その4年後には39パーセントになっています。国債依存度というのは歳入予算全体に占める国債の比率です。

 これはもう大変だというので、徹底的な歳出カットが行われ始めた年でした。だから、私が仕事で文章を書こうにも――普通は紙が支給されますよね――それもないとか、それから廊下の絨毯が古くなったので、備品担当の係がそれを替えようとしたら主計局長に大目玉食らったとか、そういう時期でした。

 ただ、そういう歳出カットにもさすがに限界があるので、いよいよ消費税という話になってくるわけです。ご承知のように消費税は大平(正芳)総理が一生懸命やられ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗