●財政再建について考え続ける必要がある
私は財務省で35年間勤務しまして、主計局とか、金融関連部局が長かったのですが、その後いわゆるDBJ(日本政策投資銀行)とか、今はJPX(日本取引所グループ)におりまして、予算とか、マクロ経済とか、国際金融とか、いろいろ経験をさせていただきました。その中でも私のライフワークは、いろいろ考えてみると、財政再建だと考えております。
しかし、2014年に財務省を離れて以来、あまり財政再建の話はしてきませんでした。と申しますのは、その当時それを話しても「またその話か」みたいに思われますし、赤字にかまわずどんどん国が金を使うのが正しくて、それに抵抗する役人というのは小役人であるという雰囲気が、今でもあるのかもしれませんが、広がっていました。
役所を離れて11年たちますけれど、やはりこの話はし続けなければいけないなと、最近は特に思っております。それから金利が上昇し始めて、少し変わってきたかなという気もいたします。
今回はそういうことで、財政赤字というのはどの程度心配すべきなのか。それから2番目は、日本の金融問題とそれがどう関係してくるのかについてお話ししたいと思うので、分からない点があったり、途中でもさえぎってご質問いただければと思います。
●議会は税のためにある
まず財政赤字の話からさせていただきます。私は昭和54(1979)年に旧大蔵省に入って、最初に配属されたのが主計局の総務課というところで、ここは予算全体の参謀本部みたいなところでして、入省した昭和54年は、いわゆる国債依存度が過去最高に達した年だったのです。ちょうど第2次オイルショックで、昭和50(1980)年がたしか9パーセントぐらいの国債依存度が、その4年後には39パーセントになっています。
依存度というのは全体の予算、歳入に占める国債の比率です。これはもう大変だというので、徹底的な歳出カットが行われ始めた年でした。だから、私が仕事で文章を書こうにも――普通は紙が支給されますよね――それもないとか、それから廊下の絨毯が古くなったので、備品担当の係がそれを替えようとしたら主計局長に大目玉食らったとか、そういう時期でした。
ただ、そういう歳出カットにもさすがに限界があるので、いよいよ消費税という話になってくるわけです。ご承知のように消費税は大平(正芳)総理がかなり一生懸命やられ...