習近平中国の真実…米中関係・台湾問題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
政治と経済
垂秀夫(元日本国駐中華人民共和国特命全権大使)
改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷が経済不振を招いた。企業内の財テク錬金術手法とともににわかには改まらない体質だ。不動産不況や企業倒産などは、どのような状況なのか。中国経済の苦境の実態を、詳細に明かす。講義終了後の質疑応答編・後編。(全7話中第7話)
時間:16分31秒
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年10月16日
≪全文≫

●中国のピークアウト、その原因は?


【質問】
 中国がピークアウトし、今後国力が衰えていくといいますが、その根本的な原因は何でしょうか。

垂 やはり経済が相当悪いことです。習近平氏は強い中国をつくるため、国家の安全のために、経済発展のときに取っていたアプローチと国家の安全を重視するアプローチが矛盾しないときは、どちらも重視して、どちらも行います。しかし、矛盾することがよくあるわけです。

 例えば、一番簡単な例でいえば、私が北京にいるときに各国大使の間で、あるいは民間企業の人たちもよく言っていました。「なぜ邦人拘束のようなことをするのか。あんなことをしたら、投資が来なくなる。投資が来なくなったら、中国経済が悪くなっていくときによりマイナスになる。なぜ経済の悪いときに、こんなことをするのか」ということです。

 なおかつ、一方で、商務部などは「どんどん投資に来てくれ」と言って、私が(日本に)帰ってきた2023年の4月や5月には、月に何十件もの投資誘致訪日団を日本に出しているわけです。毎月です。にもかかわらず、みんな来たくない。ビザの話もそうでしたし、もう一つには邦人拘束の話もあった。そういうところをもう少し柔らかくすれば相当変わってくるのに、なぜかそこに手を付けないわけです。

 なぜかといえば、これは「国家の安全」の関係です。だから、こうやって矛盾するようなところがあったときには国家の安全のほうがより重視されるわけです。そちらのほうが今、戦略目標としてより上になっている以上、経済というのはどんどんマイナスになっているということです。


●中国における不動産暴落の現状


垂 それから、不動産の話ですね。習近平氏がやろうとしたこと自体は、本当はそれほど間違ったことではなかったのかもしれません。しかし、中国自体の経済が、なぜここまで来たか。改革開放が始まったときの中国には、本当は何もなかったわけです。外国から技術と資本を持ってきて、工場を造ってもらいますと。それで経済を発展させてもらいますと。中国が提供できたのは何かというと、土地です。それだけです。

 簡単にいえば、土地の値段などはいくらでも勝手につけられた。その土地が、ずっとカネのなる木だったのです。それが途中から不動産のほうに行ったわけです。そうすると、だんだんと裕福になった人間から一人で何個もの不動産を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(1)体制を笑うジョークと諷刺の精神
ジョークの精神…なぜ人は厳しいときほど笑いを磨くのか
早坂隆
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明