歴史の探り方、活かし方
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史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
江戸時代の藩校に関する研究は多いが、当時は藩ごとに小国家を形成していたため、学力水準を全国で比較したものは見当たらない。では、あえて「全国藩校ランキング」を考えるとすると、どの藩の藩校が「トップ校」になるのだろうか。中村氏は、昌平坂学問所への入寮者数をもとに、藩校のレベルを割り出してみた。その結果とは? 歴史史料について、ただ読むだけでなく、その切り口を考えることで、歴史の新しい姿が見えてきた例である。(2025年4月26日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第6話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分10秒
収録日:2025年4月26日
追加日:2025年11月29日
≪全文≫

●『昌平黌物語』を用いて割り出した藩校の学力水準


中村 今回は江戸時代の話をします。私はPHP文庫に『全国藩校紀行』という本を収録してもらったことがあります。今も藩校の遺跡が残っているところ、あるいは会津藩校・日新館のように再建された藩校を持っている地方があります。それらの地方を13カ所回り、藩校の規模、どういうシステムで教えていたかなどを書いたのがこの本です。

 これを書いたときには気づかなかったのですが、どこを回っても、どういう藩校だったということは書かれているものの、一体この藩校の学力水準はどの程度だったかということは書かれていないのです。

 昔は、一つの藩が一つの小国家だったので、他の国は外国と捉え、比較対照があまり進みませんでした。しかし、やりようによっては学力を推察できるのではないかということに、この本を書き終えて少したってから気がつきました。

 そこで、どうやって藩校の水準を割り出したかということをご披露して、皆さんがこれからどこかの史料を集めて分析する場合のヒントにしていただければと思います。

 これに使った史料は『昌平黌物語』という本で、昌平坂学問所跡でいにしえの昌平坂学問所に関する研究書などを出版している教育団体、斯文会から出されました。著者は、斯文会の(元理事長)鈴木三八男氏で、昌平黌は昌平坂学問所の別称です。

 この本には、各藩書生寮入寮者数というリストが載っています。何藩から何人が昌平坂学問所に留学してきたかという人数のリストアップです。1846(弘化3)年から1865(慶応元)年まで、地方の藩から出てきて江戸で入寮した者のリストです。これらを調べれば、どの藩から何人来たかということがすぐ分かるわけです。

 まず、入寮者数のベスト4をここに書いてみます。1番が佐賀藩で40人。2番は二つの藩が同数で、仙台藩と薩摩藩が21人ずつ。4番は会津藩で19人となっています。

 では、これを一つのランキングといっていいのでしょうか。藩というのは大きさが違いますので、この数字を分子とみなすと、ここには分母に当たる数字がないため、無理やりにこちらでつくってみます。総人数は分からないので、それに代えて藩の石高を使うことにします。大体藩の石高と藩士の数は並行するものだという大前提のもとで、石高で人数を割ると、石高1万石あたりの進学率が出てきます。これにより、生...

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