弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
縄文文化と弥生文化を分ける「4つの文化説」に迫る
第2話へ進む
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
藤尾慎一郎(国立歴史民俗博物館 名誉教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究専攻 名誉教授)
弥生時代の始まりが600年ほどさかのぼった――私たちがかつて教科書で習ってきた知識は日々の研究によって更新され、紀元前3世紀だった弥生時代の開始年代の定説が近年、測定法の洗練によって大幅に改められたのだ。その背景にはどのような論争があったのだろうか。今回は土器に付着した炭化物から見えてきた弥生時代の端緒をひも解く。(全11話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分23秒
収録日:2024年7月29日
追加日:2025年3月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●測定法の洗練によって弥生時代の始まりが600年さかのぼった


―― 皆様、こんにちは。

藤尾 こんにちは。

―― 本日は藤尾慎一郎先生に弥生時代のお話をいただきたいと思っております。藤尾先生、どうぞよろしくお願いいたします。

藤尾 どうも、お願いします。

―― 藤尾先生には以前もテンミニッツTVで弥生時代の講義をいただきました。

藤尾 そうですね。

―― 今回はいろいろなことを扱っていただきますが、特に弥生人の生活の実態がどこまで分かっているのか。あるいはDNAの分析で縄文人と弥生人の違いがどうなっているのかということのお話をいただければと思っています。

 まずお話をいただきますのが弥生時代はどんな時代かというところで、非常に興味深いですが、これは前の講義でもお話しいただきましたけれど、弥生時代が600年さかのぼった経緯と理由、また弥生時代の特徴、それから弥生時代にどういう文化があったかということでお話をいただければと思っています。

 まずいちばん最初、弥生時代が600年さかのぼった経緯ということですが、もともとは何年ぐらいといわれていたのですか。

藤尾 もともと、60年前に、弥生時代が紀元前3世紀頃に始まったという説が出て、それがずっと教科書に載ってきたのです。だから私も高校の頃は紀元前3世紀頃と習いました。そのときは、まだ時代の指標となる特徴が弥生土器だったのです。

―― それは土器の形などで比べるということですか。

藤尾 そうですね。画面に出ていますけれど、縄文土器に比べると文様もないし、非常にシンプルな、機能的な土器です。これが出てくるのです。この時期からが弥生時代と決めていたのです。

 ところが、今から40年前に、これまでみんなが縄文土器と思っていたその土器(の周辺)に立派な水田が出てきてしまったのです。

―― なるほど。

藤尾 それはこの弥生土器が出てきてから水田が始まるとみんな思っていたのに、「なんだ、いちばん最後の、(つまり)いちばん新しい縄文土器の時代に水田があるではないか」ということになって、それで学会は大騒ぎになったのです。

 ちょうど私が大学院生の頃で、時代区分論争というのでしょうか。いつ頃から弥生時代としたらいいのか。今まで通り、弥生式時の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏