弥生時代の歴史~研究最前線
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
縄文人の生活圏とは異なる場所で始まった水田稲作の歴史
弥生時代の歴史~研究最前線(3)~水田稲作の始まり~後編
藤尾慎一郎(国立歴史民俗博物館 研究部 教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究コース 名誉教授)
朝鮮半島南部から遅れて日本でも粟やキビを主食とする生活形態から、水田稲作への変化が生じつつあった。福岡県で見つかった日本最古の水田遺跡からは、縄文人の生活圏とは異なる場所から水田稲作が始まったこと、水田稲作のためにさまざまな工夫が施されていたことなどが分かる。(全12話中第4話)
時間:11分14秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文後晩期農耕説でコメとともに作られていた可能性の高いのはアワとキビ


 縄文後晩期農耕説において、コメと並んで最も作られていた可能性が高いとされたのは、アワやキビでした。日本で最も古いアワやキビはいつ頃見つかったのでしょうか。左側の写真がアワ、右側がキビです。アワは英語で「foxtail millet」と呼ばれ、狐の尻尾のような形をしています。これらは両方とも紀元前10世紀頃の中国地方に存在していたということです。土器の表面のスタンプ痕からその存在が実証されました。

 コメと、アワとキビは何が異なるか。現在の若者は、きびだんごで食べたことがあるくらいで、アワやキビ自体、食べたことはほとんどないと思います。多くの場合、インコの餌などといった認識がされているのではないでしょうか。

 生物学では、光合成の仕方が異なるために炭素の安定同位体比の比率が異なるといわれています。ですので、土器の内面のおこげの中の炭素分子を調べると、どちらの穀物か判別することができるといわれています。アワやキビなどのC4植物であれば確実に分かります。

 ただ、コメはどんぐりと同じ性質を持っているので、C3植物がコメだったのかどんぐりだったのか、これだけでは判別することができません。ただ、C4植物ならばおこげを調べれば確実に分かるといわれています。福岡平野の場合、われわれが調査した中で最も古いC4植物のおこげは紀元前600年頃のものです。つまり、弥生時代初期のものはまだ見つかっていません。


●水田稲作の歴史は縄文人の生活圏とは異なる場所で始まった


 次に、縄文晩期から、弥生時代のはじめにかけての遺跡の状況についてお話しします。

 日本で最も早く水田稲作が始まったとされる福岡県福岡市に位置する福岡平野を取り上げます。

 この図は水田稲作が始まる前の福岡平野の地図です。九州のことをあまりご存じない方にはよく分からないかと思いますが、福岡市にお住まいの方は、この図を見れば現在のどの辺りかすぐに分かるでしょう。ちょうど地図の中心が、現在の博多駅周辺です。これを見ていただくと、博多駅周辺は真っ白で遺跡がほぼないということが分かります。つまり、縄文時代の晩期終末には、現...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(16)宮本弘曉先生:AI大格差
【10min解説】宮本弘曉先生「AI大格差」仕事と給料の未来
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(4)「国のかたち」を守った男たち
全責任をかぶることを恐れず本義を貫く…樋口季一郎の決断と行動
門田隆将
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
ウェルビーイングを高めるDE&I(4)人的資本経営の核となるDE&I:後編
日本は不寛容な国か?完璧主義の弊害とDE&Iを進める必要性
青島未佳
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
三宅香帆
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将