弥生時代の歴史~研究最前線
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「倭」の範囲は環壕集落の分布と一致しているのか
弥生時代の歴史~研究最前線(6)~外交の始まり~後編
藤尾慎一郎(国立歴史民俗博物館 研究部 教授/総合研究大学院大学 日本歴史研究コース 名誉教授)
「倭」という弥生人たちの国は当時、外国にどのように捉えられていたのか。「倭」の範囲は、北は新潟県、東は千葉県から埼玉県あたりにまで及んでいた。対して東北地方では縄文時代の文化がいまだに用いられており、水田稲作にもそれほど固執していない。「倭」という国に対して、国内の文化的差異に着目して解答を与える。(全12話中第10話)
時間:10分40秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●「倭」の範囲は環壕集落の分布と一致している?


 九州北部の王たちが交流していた当時の前漢王朝は、弥生人のことをどう見ていたのでしょうか。「楽浪海中倭人あり」という記述がありますが、当時彼らは、日本の人々を「倭」と呼んでいました。中国の人々が認識していた「倭」の範囲は、どこまででしょうか。九州はもちろん倭の範囲です。それでは、東端はどこなのかという点に関して、環壕集落の分布に着目して考えてみようと思います。

 この図は、朝鮮半島と日本列島にある紀元前11世紀から古墳時代が始まる直前までの、環壕集落の分布を示したものです。朝鮮半島南部から九州、近畿、東海、関東まで分布しているのが見て取れるかと思います。一方で、東北地方には一つもありません。

 環壕集落の分布を時期別に見てみましょう。3枚の図がありますが、最初は弥生時代の前期です。この時期には、環壕集落はだいたい名古屋近辺まで広がっています。その後、紀元前1世紀頃には、関東地方の利根川近辺まで広がっています。そして、弥生時代の後期になると、利根川の北には広がらず、日本海側の新潟県村上市まで広がります。南の方は鹿児島まで存在していました。

 つまり、環壕集落は千葉、埼玉よりも北には分布していません。つまり、栃木や茨城以北には、1つも環壕集落は見つかっていません。シリーズ講義のなかで、環壕集落は農耕社会の成立を示す考古学的証拠の一つだというお話をしました。そうした環壕集落を持たない地域、すなわち栃木、茨城、そして東北ですが、そこに一つ、線が引けるのではないか。そして、それは倭の範囲と一致するのではないかと考えることもできます。


●環壕集落文化の端にある南関東と東北の遺跡たち


 南関東でも水田稲作と開始とほぼ同時期の紀元前3世紀中頃に、環壕集落が出現します。そのなかで最も有名なものの一つに、小田原市にある中里遺跡が挙げられます。左側は山の方から遺跡を見て、太平洋の方を向いた写真です。真ん中に環壕集落が見えます。その上の方に海岸線が見えます。

 この環壕集落は、海岸線から約6キロメートル内側に入った場所にあり、現在はすぐ脇を新幹線が通っています。そのため、新幹線に乗って東...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠

人気の講義ランキングTOP10
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(5)キリスト教と反ユダヤ思想
ユダヤ人迫害を生んだ「権力者・ユダヤ人・民衆」の三者関係
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓
組織心理学~「チームの温度差」を埋める(1)温度差の正体とあいさつの影響力
職場のメンタルに影響する「あいさつ」、その効用とは?
山浦一保
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
長谷川眞理子