概説・縄文時代~その最新常識
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縄文時代の始まりはいつから?…三つの説の特徴とは
概説・縄文時代~その最新常識(2)縄文時代の開始時期に関する三つの説
山田康弘(東京都立大学人文社会学部 教授)
技術の進歩や新たな考古学的発見によって、縄文時代の年代や文化に関する従来のイメージは大きく変化することになった。その結果、いつから縄文時代が始まったのかという重要な論点に関して、三つの異なる説が生まれてくることとなった。講義の焦点は、土器の出現と気候の変化が、縄文時代研究に与えた役割に移る。縄文時代という古い年代のことであっても、新たな発見によって知識は日々更新されているという知的好奇心を刺激する事実を教えてくれる。(全13話中第2話)
時間:13分39秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●三つの点で従来の縄文文化への認識は変化してきた


 そのように考えると、1980年代前後までの縄文時代のイメージは、先ほど説明した高校の教科書の記述のような形で、基本的には語られてきました。対して、今申し上げたように、現在では大きく異なる点が三つあります。

 1点目は、炭素14年代測定法の進歩です。最近では、加速器を用いることで、非常に微量の炭素からの年代測定が可能になりました。前はベータ線法という方式を用いていましたが、たとえば貝塚であれば貝を何十グラムも使う必要があります。人骨であれば、何十グラムも使えば、腕が1本なくなってしまいます。それほど多くの炭素、つまりサンプルが必要でした。

 しかし、最近では加速器を利用するAMSという新たな炭素14年代測定法が、一般化してきています。この手法では、数ミリグラムという非常に小さなサンプル量で年代測定が可能です。これを用いて、各地から出土した土器、特に古そうな土器を調べると、先ほど申し上げたように、およそ1万6000年前から土器が出現すると示されました。

 それでは、縄文時代と弥生時代の区分はどうなったのでしょうか。現在では、灌漑水田稲作が開始されるのは、北部九州ではおよそ3000年前と考えられています。これも、先ほどの高校教科書の時代区分からすると、700年から1000年程度さかのぼっているのです。

 そうすると、縄文時代の時間幅は、縄文土器の出現とともに開始し、水田稲作の開始とともに弥生時代が開始すると考えると、灌漑水田稲作の開始がおよそ3000年前ですから、1万6500年前から3000年前までとなります。1万3000年間が縄文時代の時間幅です。最近では、このように考えられるようになってきました。この時間幅は、これまでの想定よりも、かなり長いのです。

 2点目は、高度に発達した植物管理技術、特にクリ、漆、豆類などの栽培や管理をどう考えるかという点です。これまでの認識では、狩猟に植物採集、そして漁撈が、縄文時代の生業の中心でした。最近では、それに加えて栽培、植物管理、場合によっては農耕などもその中に加わるのではないかと議論されるようになってきました。

 最後に3点目として、階層社会の存在可能性が挙げられます。これまでは、縄文時代には平等な社会であったといわれてきました。しかし、今からおよそ4300年か...

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