概説・縄文時代~その最新常識
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再生・循環と系譜…現代に受け継がれている縄文人の死生観
概説・縄文時代~その最新常識(13)二つの死生観
山田康弘(東京都立大学人文社会学部 教授)
縄文時代にはまず再生・循環の死生観があり、その後、系譜的な死生観が発展してきた。しかし、系譜的な死生観は再生・循環の死生観の一部を切り出したものにすぎず、状況に強いられて発展してきたものであった。現代でも、系譜的な死生観に代わって、再生・循環の死生観が担う役割が大きくなってきている。シリーズ最終話では、縄文時代の精神生活が現代人の精神に及ぼしている影響について解説する。(全13話中第13話)
時間:8分39秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年11月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文時代を下るにつれて系譜的な死生観が発展してくる


 縄文時代の再生、循環の死生観は、円運動を伴うということで、「円環の死生観」と呼ぶことができます。自分自身が姿形を変化させながら、自然のさまざまな部分に循環していくのです。こうした死生観は、縄文時代の初源的な宗教形態の一つであるアニミズムと連動します。

 加えて、縄文時代の後半期になると、多数合葬・復葬墓の発生とともに、先祖から受け継いできた生命の線を、バトンリレーのような形でつなげていくという系譜的な死生観が発展します。先ほどの円環の死生観に対比して、「直線的な死生観」と呼ぶことができます。この二つの死生観の在り方が、縄文時代後期には並存していたと考えられます。

 後期以降も、墓地の中に新たに家族単位の区画が作られ、そこに代々埋葬されていくようになることを鑑みると、系譜的な関係性を考慮した埋葬方法を取っており、それを支えた死生観が存在したことがうかがえます。


●系譜的な死生観は再生・循環の死生観の一部を切り出した特殊なもの


 縄文時代の再生・循環の死生観と系譜的な死生観、この二つが円環の死生観と直線的な死生観ということになるのですが、自然の中で大きく循環するという考え方の中では、自分の先祖と自分がいて子孫がいる、という直線的な死生観は、実は一部分を切り取って並べたにすぎないことが分かります。例えるならば、数学における微分積分の考え方と同じです。

 系譜的な死生観は、特殊な状況下で必要とされたのであって、縄文時代の基本的な死生観は、むしろ円環の死生観、再生・循環の死生観であったと考えられます。この死生観は、人間だけではなく、イノシシやシカ、クマなどの動物や、トチの実やクリなどの植物にも適用できます。だからこそ、土器埋設遺構の中に入れて、再生するように祈っていたのです。

 貝塚も、単なるゴミ捨て場ではなく、人の遺体を埋めたり、さまざまな動物の骨を置いたりしました。その意味では、アイヌ人の文化にあった、あの世にもう1回送り込むという祭祀の場、いわゆる送り場と同じものだと考えられることが多いのです。このように、さまざまなものを、円環の中に送り込むという営為を、縄文人が行っていたことは、おそらく間違いない...

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