寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松平定信のもう一つの功績「学問吟味」の画期性に注目
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(1)学問吟味の導入と正統性の問題
松平定信による寛政の改革は近年、財政再建とともに教育改革の効果が注目されている。科挙にならった「学問吟味」が有能な若者を育て、硬直化した幕府官僚の顔ぶれを一新したからだ。幕府にならって各藩がほぼ一斉に藩校をつくり、教育に力を入れたことも大きい。漢文読解は世界情勢を読む読解力をも鍛えたのである。求められたのは朱子学的な素養だが、実はそこに正統性の問題が立ちはだかったのである。(全3話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分55秒
収録日:2024年4月11日
追加日:2024年12月15日
≪全文≫

●科挙にならった「学問吟味」の画期性


―― 先般、先生から、松平定信の寛政の改革で行われた最も重要なことが、実は人材登用のシステムをつくったことだとうかがいました。江戸期の藩校にしても私塾にしても、ここから本格的な教育が始まって、佐藤一斎の系譜である佐久間象山なり横井小楠がギリギリ幕末に間に合ったのだというお話を聞かせていただいきました。私は、寛政の改革の非常に重要な要素に人材登用や教育の側面があるというのを知らなかったので、今日はぜひそのあたりのお話を先生にお聞かせいただければと。

中島 ありがとうございます。本当に寛政の改革(1790年ですが)以降、わっと藩校の数が増えているのです。ここで思いきった制度改革をやったわけです。何をしたかというと、それまでは士農工商の身分制度ががっちり固まっていて、武士といっても、いわゆる上級武士の子どもから登用していくというやり方しかなかったわけです。

―― 500石以上の上士から選ぶと。

中島 そうすると、中には当然能力の高い人もいますが、そうではない人もいるわけです。もう200年近くになった徳川(政権)は、人材という点ではなかなかの困難を抱えていた。

―― ずっと世襲で、いい人が続くことはあり得ないですね。

中島 それは難しいと思います。やはりそこに新しいチャンスを入れることが大事です。寛政の改革が何をやったかというと、直接科挙を導入したわけではないのですが、それにやや似た「学問吟味」と当時いわれる制度を取り入れた。

―― 「学問吟味」ですか。

中島 その制度を入れて、例えば下級武士の子、あるいは農工商など他の身分の、能力の高い人たちを採用していくためのルートを開くわけです。

―― 画期的ですね。

中島 画期的です。だから、ある程度学問を身につけたら、今までの身分制に縛られずに自分の能力を発揮することができる。そういうチャンスを、日本の社会に植えつけたわけです。そうすると若い才能は、チャンスだと思って一所懸命勉強するわけです。そのときに藩校や寺子屋などもどんどん充実していきます。

 ここで大事だったのは、幕府がただ音頭を取っても、それでは広まらないわけです。それぞれの藩が協力しないといけない。共鳴しないといけない。当然各藩でも、人材登用に関しては同じような問題を抱えていた。そこで、寛政の改革で人材登用のシステムを新...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔