寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世襲では駄目!? 社会的流動性を回復させるための鍵は教養
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(2)社会的流動性を回復させるために
社会的流動性という言葉があるが、それが高い社会のほうが活気ある社会だと中島氏は言う。江戸後期、松平定信による寛政の改革はそれを後押ししたのではないだろうか。よほどの危機感があったのだろう。それを契機とした教育改革が明治維新の原動力になる青年を育てることにつながったように、現代の日本にもそうした停滞した社会を変える志を持つ青年を教育する施策は必要なのではないか。(全3話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分37秒
収録日:2024年4月11日
追加日:2024年12月22日
≪全文≫

●寛政の改革が果たした社会的流動性の回復と現代


―― 徳川家康がつくった強固な江戸幕府といえども、やはり代を重ねるごとに(難しくなっていく)。最初の100年では1200万人(の人口)が3000万人ぐらいになったので生産性が上がり、改革も進んで急成長しました。しかし、人材は上士に限られた階層だったので、他からは人が上がっていない。そうすると、みんな勉強しなくなるわけですね。

中島 そうです。世襲では駄目ですね。われわれは今、「社会的流動性」という言葉をよく使いますが、やはり社会的流動性の高い社会のほうが活気があります。

―― それはもう、絶対にそうですね。

中島 確実にそうです。だから、寛政の改革はそれを一押ししたのではないかという気がします。

―― それを松平定信という将軍になるかもしれないような家の人が行おうとしたところに面白さがありますね。

中島 そうですね。よほどの危機感がおありだったと思います。それに当時の仕組みからいってトップダウンでやるしかなかったのでしょう。(つまり)ボトムアップ型ではなかなか功を奏さなかったと思います。もちろん、あちこちでいろいろな農民たちの運動は出てくるわけですが、そういう制度的な、特に教育に関わるものはトップダウン型でないと機能しなかったということでしょうね。

―― 面白いですね。その前段階の田沼意次は賄賂政治、あるいは今でいうと積極財政ですね。新田開発をしたり、いろいろな形で需要をつくってマーケットを設けたが、彼は教育にはまるで触れなかった。その次の松平定信のときに、緊縮による財政再建とともに行われたもう一つの改革である教育改革は、全国諸藩に広がった。これはなんとなく、今の時代によく似ている気がします。

中島 そう思いますね。

―― 今の時代で世襲が続いている自民党というのは、ある種、日本国そのものだと思います。戦後の日本そのもの、日本人そのものだと思うのです。それが「世襲3代」とはいいますが、造り酒屋のような地元の名士になってから数えると、だいたい5、6代目ぐらいですね。

中島 ですから、どうやって社会的流動性を回復するか。それはどの領域にも当てはまることだと思います。もちろん世襲の中にも優れた人がいないわけではありませんし、それはそれで鍛えられている人もいるでしょうけれど、やはり俯瞰して見た場合、社会的流動性を上げるた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司