危機のデモクラシー…公共哲学から考える
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
デモクラシーとエリート主義の限界…立憲主義と共和主義
第2話へ進む
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
齋藤純一(早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授)
ショーヴィニズム(排外主義)、反エリート主義、反多元性を特徴とする政治勢力が台頭するなどポピュリズムと呼ばれる動きが活発化する中、「デモクラシーは大丈夫なのか」という危惧がかなり強まっている。アメリカのトランプ大統領再選、フランスの福祉ショーヴィニズムなど世界的に保守的な潮流が強まる中、デモクラシーは今後どうなっていくのか。まずは世界中で強まっている「社会の分断化」の背景について解説する。(全6話中第1話)
時間:9分11秒
収録日:2024年9月11日
追加日:2025年3月28日
≪全文≫

●強まる排外主義とデモクラシーの危機


 皆さん、こんにちは。早稲田大学の齋藤と申します。今回は公共哲学のいくつかの(中で)、今私が重要だと思う論点についてお話しいたします。

 まずデモクラシーの現状と課題、そしてカントの公共性論、ハンナ・アーレントの公共性論、最後のほうで公共性の基本的な考え方と、政治と経済をどうブリッジできるかについて簡単にお話しいたします。

 ではデモクラシーから始めます。

 このところ、デモクラシーは大丈夫なのかという危惧がかなり深くなり、広まってきています。きっかけは、2016年のイギリスのEUからの離脱に関する国民投票です。そして、(この年に)トランプ大統領が当選しました。いずれも半年ぐらい前まではそういうことはないだろうと思われていたのが、まさに民意によってそうしたブレグジットとか、トランプの当選が決まったのです。

 ご存じかもしれませんが、フランスでは前の名称が国民戦線、今は国民連合に変わっていますが、これも勢いがあります。前党首がマリーヌ・ルペンという方で、女性の党首でした。最近は福祉ショーヴィニズム(福祉排外主義)といって、「フランス国民だけにもう一度戻れば、かつてのような手厚い福祉をもう一度取り戻すことができるのだ」ということをアピールしている政党です。

(2024年)イギリスでも暴動がありました。これも誤情報、偽情報の影響があったわけですけれど、イスラム教徒が人に対して危害を加えたとされた。とりわけ、イスラム教徒をはじめとして移民、難民に対するネガティブな態度がヨーロッパでかなり広まっているし、定着しているといっていいかと思います。


●ポピュリズムの「反多元性」の問題


 この20年くらい、ポピュリズムと呼ばれる動きが活発になってきています。ヨーロッパだけではなくて、インドのモディ首相とか、トルコのエルドアン大統領とか、ハンガリーのオルバーン首相、南米ではベネズエラなど、各地に見られます。

 その特徴とは何なのかというと、いろいろと挙げられます。排外主義、ショーヴィニズム、それから反エリート主義。エスタブリッシュメントを打破していく。あるいは立憲主義、憲法を軽視していく。自分の都合のいいように基本的な制度を変えていく。あるいは議会...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
老子の神髄(5)玄人と小国寡民
したたかで超越的な知恵…見えないものを見ようとする知的好奇心
田口佳史
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
メンタルヘルスの現在地とこれから(2)職場のコミュニケーション
昭和の常識は非常識…令和の世ではマイクロアグレッション
斎藤環