2050年「プラチナ社会」実現への挑戦
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
プラチナ社会を目指すプラチナ構想ネットワークが発足して16年、課題と最適解がともに目に見えるようになってきた。第1話の今回は「プラチナ社会」構想のルーツにあたる『成長の限界:ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』と宇沢弘文氏の『自動車の社会的費用』の2冊を紹介するとともに、これまでの経緯を振り返り、現在鋭意進行中の森林・エネルギーにおける「プラチナ産業イニシアティブ」の状況をご報告する。(全3話中第1話)
時間:12分24秒
収録日:2024年11月27日
追加日:2025年1月1日
≪全文≫

●「プラチナ社会」発想のルーツとなった2冊の書籍


 テンミニッツTV座長の小宮山宏です。2025年の年頭にあたりまして、恒例に従い年頭所感をお伝えしたいと思います。

 今世界を眺めますと、いわゆる覇権国家といえるほど圧倒的に強い力を持つ国はなくなってきたように思います。アメリカが弱くなってきていますし、中国もとても覇権といえる状況ではない。どの国も、いわば自分の国内を考えるだけで精一杯のような状況が目立ちます。

 そのような中、われわれはどうすべきか。これは毎年繰り返し申し上げているかもしれませんが、「日本の国を強い国にする」「課題先進国を課題解決先進国にする」ということが大事なのだと思います。私は16年ほど前に「プラチナ構想ネットワーク」を立ち上げ、「プラチナ社会」というものを目指す、いわば社会運動をしているわけですが、だいぶ具体性が見えてきたように感じていますので、そのお話をさせていただきたいと思います。

 まず「プラチナ社会」という発想に至るルーツを考えてみますと、若いころに読んだ2冊の本に行き当たるように思います。

 一つは『成長の限界:ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』(ダイヤモンド社)。これは1972年、私がドクターを取った年に(日本で)出版されました。ローマクラブが「地球は有限だ」と、今思えば当たり前の話ではあるのですが、「地球は有限、資源も有限で環境も有限だから、成長には限りがある」ということを言ったわけです。これは、「無限の荒野に向かって人類が発展していく」という感覚がまだ残っていた当時の世界に衝撃を与えました。

 もう1冊は宇沢弘文氏という、なぜノーベル経済学賞をもらわなかったのかといわれる経済学者によるもので、ローマクラブ(の本)の後に、『自動車の社会的費用』(岩波書店)という本が出版されました。

 彼はこの本のとき(1974年)にはまだ、空や海や水、交通インフラや教育システムといったものを「社会的共通資本」と定義することはしていません。それについては、2000年の『社会的共通資本』(岩波書店)という有名な本で、その中身を定義しています。自動車は非常に便利で、社会に大きな便益を与えるものだが、公害を発生したり、交通渋滞を引き起こしたり、社会的費用を発生するということでした。そして、どちらかというとその...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦