進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
現代人が直面する諸問題には、個人が原因というより、社会や環境によるとみなすしかないことも多い。しかし、社会も文明も、われわれ自身がつくりあげてきたものだ。まずは、人類が育ってきた環境を振り返ってみよう。進化の長いスパンと文明の短さを比較すると、現在の人間生活への見方が変わるかもしれない。(全3話中第1話)
時間:14分15秒
収録日:2024年6月12日
追加日:2025年1月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●人間行動生態学のタイムスパンで見た文明の短さ


 長谷川眞理子です。今回(の話は)、進化的に考えて人間の生活とはどういうもので、今の私たちの社会がどれほどもともとの生活から離れてしまったか。それによっていろいろな、何々障害や何々症候群のような、いってみればそれに罹った人が悪いのではなく、周りあるいは社会がこうなってしまったために、どんどん増えてきたものがあるのではないかということ。もう少し、個人のことよりも社会全体のシステムのことを考えたほうがいいだろうという話をしたいと思います。

 話の流れとしては、ヒトが進化した舞台である狩猟採集生活について、皆さんはあまりご存じないかもしれませんので、その話を少しします。

 それから、都市文明と大規模な社会というのが今の社会ですが、それが発展したことで、もともとの暮らしはどのように激変したか。私たちはそれをあまり気にしないというか、考えないですよね。今ここでは、この何十年(間にできあがった環境)で暮らしているし、何百年も何千年も何万年も前にどんな暮らしでいたかは知らないので、考えない。でも、やはりそこからいかに私たちが自分たちの文化によって変わってしまったかということは理解したほうがいいと思います。そういうところから、いろいろな意味で現代は異様だという話をしたいと思います。

 人類学にもいろいろな分野がありますが、私は人間の行動と生態ということ、それが進化の中でどう動いてきたかということを研究しています。考えるタイムスパンとして、まずは人類がチンパンジーなどの類人猿の系統と分かれたのが600万年前。それからサピエンス──私たちヒトはホモ・サピエンスですが──が現れ、進化したのは30万から20万年前ということで、非常に長い(ターム)ですよね。そういう長い目で見るのが、職業的に普通のことになっています。

 一方、私たちのこの文明社会というのは農耕・牧畜・定住により成り立って、今の現代文明があります。そういう農耕・牧畜・定住を始めたのは、人類の進化史の中でたった1万年前です。また、これが1万年前に始まったからといって、すぐに全員がそういう生活様式を採用したのでは全くなく、なかなか広がらなかったし、ごく少数ですが今でも狩猟採集生活をしている人たちもいま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純