真山仁の社会論
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
安全な日本では競争を避ける内向きな人が増えた
真山仁の社会論(1)日本社会と日本人の問題点
真山仁(小説家)
日本人は今、内向きでモチベーションの低い人が多いといわれている。なぜそうなってしまったのか。小説家・真山仁氏が日本社会の問題をあぶり出し、日本人の問題点を鋭く突く。(全3話中第1話)
時間:9分15秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年8月2日
≪全文≫

●易きに流されていく人にやりたいことなど見つからない


―― 小説を読んで泣くというような感情は、人間の遺伝子に組み込まれているものなのでしょうか?

真山 確かに人間は悲しみという感情を持っており、さまざまな表現によって反応することができます。この部分は、動物の中で人間が優れているところだと思います。きっとDNAとしてあるのでしょう。さらに、こうした感情に理解や理性、シチュエーションというものがつながり、それが個性になっていきます。「私はここは泣かないけど、ここは泣くんだ」というような個性のことです。今の日本人はほとんどの人が同じところでしか泣きません。それは、動物に戻ってきているともいえるでしょう。

 人間は、個々人の持つオリジナルな感情や性質を、それこそ70年、80年と生きる間に身に付けていくはずなのに、現代のように消費社会の中でただずっと流されて生きていると、奥行きがなくなり、平面になっていきます。

―― 正しいことは1つだと受験勉強で教えられていると、世の中が分からなくなっていくのですね。

真山 だからそこも割り切っていくしかないと思います。「これはテストの正解を書くのであって、社会の正解ではない」と思えるように育けなければいけないでしょう。現状はそうではなく、「とにかく知識を詰め込んだら次のステップに上がれる」とか、「東大に行ったらきっと幸せになれる」と思っています。

 東大生にアルバイトとして手伝ってもらっていますが、時々「東大に行ったのに幸せになれないのはどうしてですか」と聞かれます。「あなたにとっての幸せは何ですか」と聞くと「楽に生きること」と答えたりします。「それなら、そもそも大学の選択、間違っていますよ」という話になります。

 「楽に生きる」「幸せに生きる」というとき、その幸せは非常に一次欲求的な幸せです。一方、自分にしかできないことを見つけて、そのことによって誰かに「ありがとう」と言われることをやりたいのなら、東大に行く意味があるかもしれません。結局は、勉強ができて周りが「東大に行きなさい」と言うから東大に行った人と、「自分のやりたいことは東大に行かないと手に入らないんだ」と思って東大に行った人の違いは、そこにあると思います。

 やりたいことを探すのはなかなか難しいことで、50歳になっても自分探しをしている人はたくさんいます。それでも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
国家の利益~国益の理論と歴史(3)マキャベリとホッブズによる新「国家」観
マキャベリが禁書にもなった『君主論』で説いた思想とは
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留