真山仁の社会論
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
一般人とエリートの価値観や考え方がどんどん離れている
真山仁の社会論(3)価値観の分断とエリートへの不信感
真山仁(小説家)
エリートと非エリートの間で、今ますます価値観の分断が起こっている。その原因は長らく続いた財政難にあるという。この状況下でわれわれは何ができるのだろうか。小説家・真山仁氏が論じる。(全3話中第3話)
時間:9分48秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年8月9日
≪全文≫

●人脈をつくるためには、明日プラスに働かないことも重要だ


―― 東大生との勉強会で、真山さんが話しているコミュニケーションの方法についてお聞かせください。

真山 「人脈はどうやってつくるのですか」という質問をされることがありますが、人脈を作ろうとして、簡単に次の日すぐできたら誰も困りません。長い時間をかけて、お互いに山あり谷ありの中、相手が谷のときには自分はちゃんと近くにいるぞ、ということを伝え、たとえ自分が忙しくても相手が困っていることが分かったら、その人のために何かすることが人脈を築くうえで重要です。

 疎遠になるかどうかは、人脈づくりとあまり関係がありません。たとえ毎月、あるいは毎晩一緒に飲みに行っている人でも裏切ることはありますから。コミュニケーションのタイミングと、その人と一緒にいるとき、いかに誠心誠意を尽くすかということです。その人が「本当にあなたに助けてほしいんだ」と言える関係かどうかが肝です。

 一方で今の人たちには、自動販売機のように100円、1万円、10万円といったボタンを押したら人脈が出てくるように考えているところがあるのです。だから若い人には、「大事な人とは酒飲んで10年ぐらい付き合え」と言っています。ただ、それが明日からすぐプラスに働くわけではありませんが。


●エリートと非エリートの間で分断が起きている


―― こうした感覚の違いをコミュニケーションという面から考えると、日本語が2つになってしまったという言い方もできますが…。

真山 日本語が2つになっている最大の理由は、エリートが頭で先に結論を出してしまうところにあるでしょう。大事なのはプロセスなのです。でも、「なぜこれが要るのか分かるだろう」とエリートに言われた瞬間に、「分かりません」と言える人は少ない。「分かりません」というのは、「聞く気がありません」と同じだと思われてしまうかもしれないからです。つまり、ひとつのことを共通認識として持って協働していきたい場合に、結果から話す人と出発点から始めたい人がいて、両者は互いの人生観(価値観)が違うため簡単には折り合わないということです。

 それで、例えば「今こういうことが起きています。なので、あなたの立場からすると、こういうふうにして、ここに行かなきゃいけないんですよ。でも、その過程にはいろいろと嫌なこともあるでしょう。だから、われわ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜