●人脈をつくるためには、明日プラスに働かないことも重要だ
―― 東大生との勉強会で、真山さんが話しているコミュニケーションの方法についてお聞かせください。
真山 「人脈はどうやってつくるのですか」という質問をされることがありますが、人脈を作ろうとして、簡単に次の日すぐできたら誰も困りません。長い時間をかけて、お互いに山あり谷ありの中、相手が谷のときには自分はちゃんと近くにいるぞ、ということを伝え、たとえ自分が忙しくても相手が困っていることが分かったら、その人のために何かすることが人脈を築くうえで重要です。
疎遠になるかどうかは、人脈づくりとあまり関係がありません。たとえ毎月、あるいは毎晩一緒に飲みに行っている人でも裏切ることはありますから。コミュニケーションのタイミングと、その人と一緒にいるとき、いかに誠心誠意を尽くすかということです。その人が「本当にあなたに助けてほしいんだ」と言える関係かどうかが肝です。
一方で今の人たちには、自動販売機のように100円、1万円、10万円といったボタンを押したら人脈が出てくるように考えているところがあるのです。だから若い人には、「大事な人とは酒飲んで10年ぐらい付き合え」と言っています。ただ、それが明日からすぐプラスに働くわけではありませんが。
●エリートと非エリートの間で分断が起きている
―― こうした感覚の違いをコミュニケーションという面から考えると、日本語が2つになってしまったという言い方もできますが…。
真山 日本語が2つになっている最大の理由は、エリートが頭で先に結論を出してしまうところにあるでしょう。大事なのはプロセスなのです。でも、「なぜこれが要るのか分かるだろう」とエリートに言われた瞬間に、「分かりません」と言える人は少ない。「分かりません」というのは、「聞く気がありません」と同じだと思われてしまうかもしれないからです。つまり、ひとつのことを共通認識として持って協働していきたい場合に、結果から話す人と出発点から始めたい人がいて、両者は互いの人生観(価値観)が違うため簡単には折り合わないということです。
それで、例えば「今こういうことが起きています。なので、あなたの立場からすると、こういうふうにして、ここに行かなきゃいけないんですよ。でも、その過程にはいろいろと嫌なこともあるでしょう。だから、われわ...