真山仁の社会論
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関西の東京化は、地方全体の問題である
真山仁の社会論(2)東京の没個性化と関西の東京化
真山仁(小説家)
東京では言葉が漂白され、個性を出さず競争をしなくなっている。一方、関西の東京化が進んでいると、小説家・真山仁氏は考える。それはいったいどういうことか。関西出身で現在も関西に住む真山氏に、関西と東京の現在について語っていただいた。(全3話中第2話)
時間:7分03秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年8月6日
≪全文≫

●今の東京は言葉が漂白され、個性が消えている


―― 東京は快適・安全・清潔な街になりましたが、結果として競争力を失い、ものを考えない人たちの集団になってしまったのは皮肉ですね。

真山 そうですね。とは言え、東京は地方より競争しています。通勤電車の1カ月の定期券を買うにも並びますし、ラーメン1杯食べるためにも並んでいるわけですから、ある種の競争はしているのです。ただし、生存競争をする必要はなくなっています。逆に、目立たないようにする努力というのでしょうか、そうしたものはあります。私は関西で生まれ育ったので、東京に来た時、言葉が漂白されているなと思いました。

 言葉を聞いても、その人の出身はまず分かりません。でも大阪なら、「おまえ、京都やろ」、「おまえ、大阪やんな」「河内やろ、自分」という具合で、語尾や言葉遣い一つで、関西の中でも、すぐに出身が分かります。しかもそれでキャラクターまでできてしまうのです。それに対して東京生まれといっても、「江戸っ子だい」と会社の会議室で言うような人はほとんどいません。基本的にはNHKのアナウンサーと変わらない言葉を使っています。これは没個性です。ある意味、日本語としての標準語の漂白感は、「この大都会では競争しないでください」「できれば個性は出さないでください」「個性を出すなら、おうちに帰って1人になってからにしてください」という考えが染み付いているからではないでしょうか。

 今の東京は非常に人工的で、競争せずに豊かなものだけを取り入れ、お互いの出自を見せないことでバランスを取っているようなところがあるのだろうと思います。

 だから特に目立つのは、私もそうですが、関西人が東京で関西弁を使いにくくなっているということです。逆にいえば、東京の人は関西弁に興味を示します。昔聞いた話ですが、大阪環状線という東京の山手線のような路線で、「東京から来た人が電車から降りない」と言うのです。「どうしてか」と聞いたら、「電車に乗っていると、女子高生や男子高生の喋っている話が漫才を聴いているようで面白いから乗り続けていたくなるらしい」と言うわけです。ただ、かつてはそれぐらい関西弁が飛び交っていたのに、最近ではそういうことも減ってきました。


●関西の東京化が日本を弱くしている要因か


真山 東京とは違う強みを芯に持っていた関西の個性が薄らいできて...

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