真山仁の小説論
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本人は想像力がない?小説家の役割は「物申す」こと
真山仁の小説論(3)小説家の役割
真山仁(小説家)
「想像力」は小説や映画を楽しむためだけではなく、将来世代の日本社会のためにも求められている。そうした中で小説家が担うべき役割とはいかなるものなのか。小説家・真山仁氏が自身の取り組みを踏まえて論じる。(全3話中第3話)
時間:7分58秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年7月19日
≪全文≫

●「想像力」は未来世代のために絶対必要である


真山 私がよく「想像力がない」と言うのは、小説や映画を楽しむことをすすめたいからではありません。今の社会が3年後、5年後、10年後にどうなっているかという想像力が、日本人のため、子どものため、孫のために絶対必要だからです。にもかかわらず、「そんな先の怖いことは考えられない」と責任世代が言った瞬間に、その民族は多分滅びるでしょう。他の生き物なら滅んでいます。

 できることなら、借金や負の遺産、また間違ったルールを少しでも良くする必要があります。今年は無理でも、3年、5年、10年かけても良いので、変わっていく方法や仕組みを想像し、つくろうとしなければいけません。今がそうした努力をするラストチャンスだと思います。

―― なるほど。それをやっていかないとご破算になり、またゼロからつくっていかなければならなくなるということですね。

真山 完全にゼロにはなりません。日本に生きている人や、日本の街の全ての風景が消えるわけがないからです。これだけいろいろなものが密集してしまった場所をゼロにすることはできないのです。戦争はその可能性がありますが、次に戦争が起こったら、そもそも人は生きていないでしょう。つまり、すでにあるものの中でどうやって、ゼロにならないような改革をするかということが重要なのですが、これは昭和20年ごろと比べて桁違いに難しいと思います。でも、やらないといけない。

―― 『オペレーションZ』の中で、北海道の炭鉱町が壊れていく様子を書かれていましたが、そうしたものを変えていくことも、桁違いに難しいということでしょうか。

真山 本当にあの小説のように、それこそ夕張に首都を持っていくぐらいの大胆さがないと駄目でしょう。何もない所にしか新しい街はつくれません。


●社会を変えていくのは1人の行動力から


―― 政策は大臣が変わるたびに書かれるわけですが、重要なのは政策の通し方で、それに長けた人が出てこない限り、情勢は動かないように思いますが、いかがでしょうか。

真山 そうですね。よく「1人では社会を変えられない」と言って皆諦めますが、実際には1人でしか変えられないと思います。突破力があり、行動力のある人が中央突破を図り、そこにいろいろな人が、応援しに集まってくるという状況が生まれないと、そうした閉塞感は突破できません。

 だ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
生成AI「Round 2」への向き合い方(8)「責任あるAI」への課題と覚悟
責任あるAI――マイクロソフトが掲げるコンセプトと覚悟
渡辺宣彦
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介