クラシックで学ぶ世界史
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クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
「歌は世につれ」というように、音楽は常に時代性を色濃く表していく。「音楽ほど、当時の社会状況や人々の欲望、時代のニーズの影響をダイレクトに受ける文化ジャンルも少ない」と片山杜秀氏は著書の中で書いているが、それはどういうことなのか。また、クラシック音楽のルーツとして、グレゴリオ聖歌に端を発する教会音楽は重要な位置を占めているというが、グレゴリオ聖歌とはいったいどのようなものなのか。(全13話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:15分25秒
収録日:2019年8月26日
追加日:2019年10月26日
≪全文≫

●音楽はなぜ時代を色濃く反映するのか


―― 皆さま、こんにちは。本日は慶応義塾大学法学部教授で、音楽評論家でもいらっしゃる片山杜秀先生をお招きいたしました。クラシックで読み解く世界史について、お話をいただければと思っております。片山先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

片山 こんにちは。よろしくお願いいたします。

―― 片山先生は、ちょうど文春新書から『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』という本を出されています。ここに先生がお書きになったことで、とりわけ印象深いところから今日のお話を切り出したいと思っています。

 なぜ音楽と世界史なのか。この本の中で片山先生が書かれたのは、「音楽ほど、当時の社会状況や人々の欲望、時代のニーズの影響をダイレクトに受ける文化ジャンルも少ない」ということです。だからこそ、音楽の流れを追っていくと、世界史の状況とか、その社会でいったい何が起きていたかがよく分かる。それが、先生のお書きになった一つのメッセージだったかと受け取りました。では、なぜ音楽は、社会状況や人々の思い、欲望や願いをダイレクトに反映する芸術なのか。このことについては、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

片山 音楽というのは簡単に言うと、リズムがあり、メロディがあり、いろんな要素があるので、それぞれの時代、それぞれの地域で好まれるものを聴き分けていくことによって大きなものが見えてくる。そういうことはありますけれども、もう少し即物的な理由が音楽にはあります。例えば、文章や詩を書くことなら、紙と筆があれば、誰でも作品を残していくことができるわけです。もちろん焼けてしまったり、紛失してしまったりするとどうしようもありませんが、「同時代には理解されなくても、後から見たらすごい詩人」というのは、あり得るわけです。

 もちろん音楽でも、ちゃんとした楽譜を書いておけば、後から評価されることはあります。しかし、これは楽譜の成立の歴史を考えても、かなりのちの時代になります。書かれてだいぶ経ってからでも、楽譜を見れば正確に、どんな楽器の組み合わせで、どういうふうにやっているかが再現できるのは、かなり楽譜が発達してからのことで、結構難しいことなんです。

 そうすると、やはり同時代的にちゃんと演奏され、聴く人がいるなかでつくっていくようなものが残っていく。聴く...

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