バッハで学ぶクラシックの本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
クラシック音楽の源流はキリスト教の聖歌である
バッハで学ぶクラシックの本質(6)聖歌からの音楽の発展
樋口隆一(明治学院大学名誉教授/音楽学者/指揮者)
キリスト教の聖歌は、非常に長い歴史を持っている。はじめは小さな修道院で単純な歌を歌っていたが、徐々に都市が成立するとともに、生活が複雑かつ巨大なものとなると、それに伴いポリフォニーや対位法といった複雑な作曲技法が発展してきた。こうした発展過程から、今日も聞かれているクラシック音楽の源流が生まれてきたのである。樋口隆一氏が解説するいくつかの作曲家のミサ曲を聴きながら、クラシック音楽の豊潤な歴史に思いを馳せるのも良いのではないだろうか。(全9話中第6話)
時間:8分21秒
収録日:2019年9月19日
追加日:2019年11月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●キリスト教の聖歌がクラシック音楽の源流である


 初期キリスト教も、詩篇を歌いました。まず修道院で小さいグループを作って歌を歌い、神を賛美しました。それは単旋律の聖歌で、「グレゴリオ聖歌」と呼ばれます。毎日お祈りの歌があって、その中で徐々に「典礼」というお祈りの形式が定められていきます。ミサの典礼です。

 ミサはどのようにしてあげるか、言葉はどのようなものか、どのようにお祈りするかといったことが全て決まっていて、1冊の本に書かれています。例えば、よく歌われるのは「キリエ」や「グローリア」など、五つの部分がある通常文です。そうしたものが定まっていって、それをみんなで歌っていたのです。

 中世の世界が徐々に経済的に発展していくと、都市が成立してきます。それまで小さな村の場合には、みんなの集会所である教会も小さくて済んだのですが、都市ではそうはいきません。

 この間(2019年4月15~16日)、火事になったパリのノートルダム大聖堂は、大きいですよね。あそこに入ると、確かに本当に神秘的な、神様の世界が開けてくるような気持ちになります。ステンドグラスから美しい光が入ってきて、そこにオルガンが鳴ると、誰しもお祈りしたくなるという、素晴らしい場所です。

 その聖堂の大きさゆえに、グレゴリオ聖歌のような単旋律、つまり一つのメロディでは少し物足りなく感じます。より演出が必要になってくるのですね。そこで始まったのが、一つのパートは聖歌をゆっくりと歌い、別のパートは第2、第3のメロディをつけていくという形式です。このように、複数のメロディを同時に歌うことを、「多声(ポリフォニー)」と呼びます。そうした音楽が生まれたのです。12世紀から13世紀に、パリのノートルダム大聖堂を中心に、「オルガヌム」というジャンルが始まります。


●複雑化していく聖歌の中から新たな作曲技法が急速に発展した


 そうなると、ただ適当に歌うのではなく、きちんと作曲する必要があります。この音に対してはこの音と、音を組み合わせていかなければならないので、その法則が発見されました。このように、すぐに法則を発見する点が、いかにもヨーロッパなのですね。そうしたものが好きなんですね。それがピタゴラス精神です。

 こうした法則を「対位法」と呼びます。もともとは「punctus contra punctum」で、これは「点対点」という意味です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤