百人一首の和歌
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
在原業平の一首が背負う「物語」とは?
第2話へ進む
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
渡部泰明(東京大学名誉教授/国文学研究資料館館長)
漫画「ちはやふる」の影響で、若い世代にもブームを続ける『百人一首』。日本人なら誰もが知っている古典の代表作品だが、「実は謎がたくさん隠されている」という説もある。奥深い『百人一首』の和歌について、日本文学研究者で東京大学大学院人文社会系研究科教授の渡部泰明氏にご案内いただく。(全5話中第1話)
時間:8分58秒
収録日:2018年4月2日
追加日:2018年6月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の古典の代表『百人一首』のもとをただしてみる


 東京大学の渡部泰明です。和歌文学を専門としています。今日は『百人一首』について、お話をさせていただきます。

 『百人一首』ほど愛された古典はないといってもいいでしょう。現在でも、生徒に『百人一首』全てを暗記させる高校も多く、かるたなどでも大変親しまれています。日本の古典を代表する作品といっていいだろうと思っています。その『百人一首』、もとをただせば一体どういうものだったのかについて、お話しします。

 『百人一首』は、百人の歌人から一首ずつ歌を選んで、総計百首から成り立っています。百人の百首ですから、正式には「百人百首」というべきですが、通称として『百人一首』と言われています。天智天皇から順徳院まで、かなり幅のある時代から歌人たちを百人集め、それぞれの代表作を一首ずつ選んで成り立っているわけです。

 一番古いところで有名なのは天智天皇で7世紀の人(若干ですが天智天皇以前、すなわち奈良時代より前の人もいますが)。ずっと下って順徳院は13世紀を生きた人ですから、若干は鎌倉時代に入っていますが、基本的には平安時代の人がほとんどで、その間をひとまとめにすると「古代」ということができます。


●『百人一首』は、古代和歌史の教科書


 平安時代以前をくくって「古代」と呼ぶとすれば、ここには古代歌人の代表者が集まっているということになります。いわば古代和歌史を一覧するのに大変便利な本で、古代和歌史を学ぶ人の教科書になる存在です。実際に出来上がったのは鎌倉時代といわれていますが、室町時代あたりから教科書として非常に広まっていったとされています。

 例えばこれは、『百人一首』の最も古い写本の一つです。応仁の乱より少し前、室町時代に写された『百人一首』で、きれいな字で書かれています。こういうものを見ながら勉強したのでしょうか。

 勉強には、今も昔も「虎の巻」が切っても切り離せないものです。『百人一首』に関しても、「虎の巻」に当たる注釈書が昔からおびただしく出されました。注釈書だけを集めて全20巻の叢書ができるぐらいで、本当にたくさんあります。

 こちらの『百人一首抄』がそういうもので、『百人一首』の注釈書です。連歌師の宗祇が著したものと言われ、『百人一首』の注釈書の中では最も古いものと考えられています。

 注釈は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
山上憶良「沈痾自哀文」と東洋的死生観(1)因果応報と日本仏教の課題
山上憶良が「沈痾自哀文」で問いかけた因果応報の問題
上野誠
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠