バッハで学ぶクラシックの本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ルター派の音楽を受け継ぐ最後の後継者として現れたバッハ
バッハで学ぶクラシックの本質(7)宗教改革と音楽の変化
樋口隆一(明治学院大学名誉教授/音楽学者/指揮者)
これまで見てきた教会音楽の隆盛は、宗教改革によって大きくその様相を変化させることとなる。腐敗した教会制度を厳しく批判し、宗教を一般人にも分かりやすいものとして身近なものとしたルター派の宗教改革は、よりなじみやすいルター派の教会音楽の流れを生み出した。今回は、ルター派の流れをくむ音楽家の最後の一人としてのバッハの立ち位置を強調し、ヨーロッパの複雑な宗教と音楽の関係を描き出す。(全9話中第7話)
時間:10分26秒
収録日:2019年9月19日
追加日:2019年11月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●ルターの宗教改革がヨーロッパの文化を激変させる


 ルネサンスの時代は、教会音楽が大変に盛んでした。しかし、やはり行き過ぎると良くないことが起こります。本来は教会にはお祈りに行くものですが、音楽会だと思って行く人が非常に増えてきたのです。実は人間の本音としてはそういうものです。それを否定してはいけませんが、「それでは困る。そんなラブソングを聴いてお祈りするのはけしからん」という立場を教会は取りました。そういわれるのももっともではありますが。

 ちょうどその頃、長く権威を持っていたローマ教会が堕落して、金権主義が指摘されるようになりました。例えば、サン・ピエトロ大聖堂を建てるということで、ローマ教会は多くのお金を持っているのだから自分たちのお金で建てれば良いのに、全ヨーロッパで募金を求めるキャンペーンを行いました。それ自体は良いことですが、方法が悪かったのです。学のない、何も分からない人たちに、「寄付しないと地獄に落ちる」などといって脅して、免罪符(贖宥状)を売りつけました。しかも、その売り上げを世俗の支配者の王様と山分けにしたのです。そうしたひどいことが行われたわけです。

 そこに、大真面目だったマルティン・ルターというドイツの修道士でヴィッテンベルク大学の神学の教授が、ローマ教会を諫める95カ条のテーゼ(論題)とドイツ語ではいいますが、これを教会の扉に張り付けました。

 この時期は、ちょうどメディア革命が起きた時期でした。グーテンベルクの作った活版印刷が普及していました。このルターのテーゼは即印刷されて、1週間のうちにドイツ中に、そして1カ月で全ヨーロッパに流布してしまいました。これはすごいことです。メディア革命です。

 誰もがおかしいと思っていたのですね。ローマのピエトロ大聖堂を建てることは良いと思うが、そのお金の集め方はおかしい、と。しかし、教会は絶対だったので、そのことについて言えませんでした。ルターが言ってくれたので、みんながそれに同調して大変な騒ぎになり、宗教改革が起きてしまったのです。これが世界を揺るがすことになります。


●宗教改革によりルター派の音楽とカトリックの音楽が分裂


 このルターによる宗教改革は、1517年に始まりました。この宗教改革では、カトリックの全てを否定したわけではありませんでした。当時のルター派の教会音楽は、ほとん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照