伊福部昭で語る日本・西洋・近代
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
55年体制も裏でつながる一元論…即興には共通の土俵が必要
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(8)分断と対立を超える知恵
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
戦後、日本には歌舞伎的二元論、あるいは演劇的二元論といって、例えば表では55年体制とか、進歩派と保守派の対立とか、労使の対立などがあるけれども、裏でつながっている、根底では同じ日本のイメージのようなものが共有されている、つまり一元論的な価値観が生きている状態だった。しかし、冷戦構造の崩壊後、分断が起きて、根っこもまったく共有されないような世の中になってきた。それが現代の日本の行き詰まりを生んでいるといえる。であれば、その共有基盤を復元できるのか。またどのように復元するのか――。打開に向けた糸口を探る。(全8話中8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分38秒
収録日:2023年9月28日
追加日:2023年12月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●55年体制も、根っこはつながっていた


―― これはおそらく戦時中に、伊福部昭さんにしても誰にしても、真面目に考えていた。国にさせられるということではなく、おそらく本当に真剣に真面目に考えていた。戦後の日本においても、形は擬似二大政党のようになっていて、自民党と社会党があって一見、バチバチやっているわけですが、裏では国対で手を結んでいる。

片山 はい。55年体制ですね。

―― 表では演じる部分があって、裏では必ずホットラインがあり、どこまでで収めるかなどを実際問題として調整しながら、アメリカの圧力、ソ連(当時)の圧力をうまくかわしつつ進めていた日本があった。ある意味で戦時中の経験が生きていた。

 日本の企業においても、経営者側と労働者側で一応、組合があって、経営者がいるけれども、裏のどこかでつながっている。二元論なのだけれども、実は歌舞伎的二元論というか、本当は一つなのだという状況だったと。

片山 深層においては同じものだということですね。争っているように見えるけれども、本体は日本ならその日本があると。

―― そういった社会を、特に戦後の日本はつくっていた気がします。全てではないにしても、そのような類型があった。今、むしろその社会が少し崩れ出している。歌舞伎ではない二元論といいますか、社会が分化してしまっている、あるいは割れてしまっているケースもあるように思えます。

片山 まったくおっしゃる通りだと思います。これを今日の伊福部さんの話に寄せて考えれば、いろいろと即興で1人ひとりは紡いでいくのだけれども、その即興で紡がれたものを皆が「なるほど」と受け入れられる共通のものがあるから、その上にバラエティが成り立つわけです。

 話が飛躍するかもしれませんが、55年体制でも、社会党と自民党では全然違うだろうと思うけれども、自民党も結局、修正資本主義的な方向で、社会主義のいいとこ取りのようなことをずっと行っていく。まさに国対政治で、「こちらのほうは通すから、そちらのほうはよろしく」といったことで物事を進めていく。それは、もともと価値観が水と油ではなく、戦争中の統制経済的なものを当時の自民党も社会党も経験として共有しているわけです。そこにどれだけ比重をかけるか程度で、「そちらのほうがうまくいく要素がある」ということを共有しながら、バラエティをつけていく。

 だから...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭が直面した「日本と東洋と西洋」そして「近代の超克」
片山杜秀
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(3)「覚り」とは?「空」とは?
「覚り」「因果」「空」とはどういうものか…仏教の本質と変遷
橋爪大三郎