伊福部昭で語る日本・西洋・近代
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
アイヌの即興的な歌や踊りのなかに見つけた「音楽の命」
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(3)アイヌコタンでの経験
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
日本の戦時中に多く演奏されたのが伊福部昭の「交響譚詩」である。日本の民謡をそのまま曲にしているというわけではなく、オリジナリティが高く、それこそ日本的ともいえる曲であるが、なぜそのような独創的な曲を作ることができたのか。それは彼の幼少期の体験が大きく影響している。北海道は帯広の北に音更(おとふけ)という村(当時)があり、彼はそこに小学校4年生から6年生の間、住んでいたのだが、そこにアイヌの集落があったのだ。そこでの経験をたどりながら、本当の芸能について彼の発想を解説する。(全8話中3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分49秒
収録日:2023年9月28日
追加日:2023年11月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本的であるけれども民謡ではない楽曲


片山 戦争中に演奏された伊福部昭さんの曲の中でも、演奏回数が飛び抜けて多かった曲があります。昭和18(1943)年に、日本国内のコンクールで1位を獲って、すぐにSPレコードになり、また日本のオーケストラ音楽として素晴らしいものだという国家のお墨付きである「文部大臣賞」をもらうなどしました。そうして広く流布した曲に「交響譚詩」があります。

―― 少し聴いてみましょう。第1楽章をかけたいと思います。

 (音楽:「交響譚詩」挿入)

―― ただいまの演奏は、「譚-伊福部昭 初期管弦楽 伊福部昭の芸術1」、指揮は広上淳一さん、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏でした。

 今、聴いた曲もそうですけれども、例えば「日本の民謡を曲にしています」「お祭りをそのまま曲にしています」ということではなく、かなりオリジナリティが高いのだけれども日本的である、という形ですね。

片山 そうですね。例えば日本的な民謡というと「木曽節」「ソーラン節」、あるいは「五木の子守歌」などの有名な民謡、子守歌やわらべ歌などのメロディをそのまま使っても、もちろん日本的にはなります。フランスの作曲家も、ドイツの作曲家も、ポーランドの作曲家も、ロシアの作曲家も、ストレートに民謡を使った曲はたくさんあるわけです。

―― そうですね。ストラヴィンスキーもロシア民謡をよく使っていますよね。

片山 そうです。だから、そういうやり方で民族的なものを表現することは、外国の作曲を含めて、当たり前といえば当たり前なのです。伊福部さんもそういうことを考えないわけではなかったのですが、民謡はそれ自体が作品になっていて、1つの完結したものであるから、それをそのまま使うのは安直である、というのが伊福部さんの発想です。

 民謡をそのまま使うものがないわけではありませんが、あまりよろしい道ではないと。もっと素直に、土俗的に生まれてくる音楽の源にさかのぼったものを作りたい、というのが伊福部さんの発想だったのです。

 「木曽節」「ソーラン節」など、私たち日本を代表する民謡はいろいろと思いつくでしょう。これは、例外もありますが、ほとんどが大正や昭和に入ってから歌われ、人口に膾炙して、レコードにもなって有名になったのです。実は山田耕筰などいろいろな作曲家が、民謡風の新しい日本の歌を作ろうなどという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭が直面した「日本と東洋と西洋」そして「近代の超克」
片山杜秀
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎