テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

10分でわかる「定年後の問題」

定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」

楠木新
神戸松蔭女子学院大学教授
情報・テキスト
『定年後 50歳からの生き方、終わり方』
(楠木新著、中公新書)
「人生100年時代」といわれている現代において、定年後の人生に不安を抱く人は少なくないだろう。雇用延長で定年を延ばす人は多いが、その後の生活上の中心になるものを探しておくことが重要になってくる。時間的にも精神的にもある程度自由に動ける60歳から75歳になるまでの「黄金の15年」を有意義に過ごすため、いつ頃から準備を始めたらいいのだろうか。(全6話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:21
収録日:2021/08/25
追加日:2021/09/28
タグ:
キーワード:
≪全文≫

●定年後の生活上の中心になるものを探しておくことがポイント


―― 皆さま、こんにちは。本日は神戸松蔭女子学院大学教授の楠木新先生に、定年後の不安についての講義をいただきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いします。

楠木 よろしくお願いします。

―― 先生は中公新書から、こちらのベストセラーの『定年後 50歳からの生き方、終わり方』(中公新書)と『定年準備 人生後半戦の助走と実践』(中公新書)を始め、定年後の本を非常に多くお書きになっていて、定年後の皆さんへの取材をたくさんされています。

 定年後の不安ということですが、テンミニッツTVを観ている皆さまの中で40代、50代の人の多くは、定年が具体的なイメージとしてなかなか像を結ばない、あるいはどういうものか分からないのではないかと思います。先生は非常に数多くのご定年後の皆さんにインタビューされていますが、いかがでしょうか。

楠木 私自身も60歳の定年まで、生命保険会社に勤めました。その前後に、かなり多くの会社員の人たちを中心に、いろいろお話を聞かせてもらいました。

 先ほどお話があったように、今現役の人は、定年になってどうなるのか、なかなかイメージが湧きにくい部分があると思います。私が自分自身の体験および多くの会社員の人から話を聞いた時に一番初めに感じたのは、現役の時は、ある意味では仕事をしていたら、それでOKでしたが、多くの人が自分の生活の中心だと思っている仕事が、定年を境にいきなりなくなってしまうので、そうなったときに、孤独まではいかなくても、戸惑いを持つ人が少なくないということです。

 定年になったときは、はじめはすごく開放感があります。私もそうでしたが、2、3か月ぐらいは開放感があります。しかし、今まで30年または40年ぐらい、毎日朝から晩まで会社に行って働いていた生活がなくなるので、やはりそれに代わるものを何か見つけないとなかなか大変になるのではと思います。

 ありていにいえば、「今日何をしていいのか分からない」や、場合によっては、「今日、どこに行っていいのか分からない」という状態になる人が、全員ではありませんが、少なからずいると思います。

 会社の仕事に代わるものを見つけるのが少し難しいために、図書館や朝の喫茶店、あるいはスポーツクラブに行くのですが、それがもちろん別に悪いことでは全くありません。しかしやはり、何か充実した核みたいなものが見つからないと思っている人が比較的多かったと思います。

 定年前の現役のときに、定年になったら釣り三昧をする、またはゴルフを毎日したいということで、会員権を取得したりする人もいますが、後で取材で聞いてみると、半年ぐらいしたら、釣りやゴルフはもうしなくなってしまった人が多いのです。要は、仕事をしながら、釣りやゴルフなどの趣味をやるのは非常に楽しいのですが、その仕事がなくなったとき、毎日釣りやゴルフに行けるわけではありません。そういう意味で、自分の仕事に代わる生活上の核になるものが必要です。核というと大袈裟かもしれないですが、中心になるものを探しておくことは、一つ大きなポイントだと思います。

 そういうわけで、定年退職した数か月後にその戸惑いに襲われる人は少なからずいると思います。そのため、定年退職して、もう何もしなくて自由で万歳と思っていたのに、半年もするとハローワーク等に通って、自分で何か仕事を見つけて働いている人も結構多いと思います。


●雇用延長制の導入により、高齢化しつつある定年後の問題


―― 定年をどう位置づけるかにもよりますが、いわゆる60歳を定年として、最近では、いわゆる定年延長があります。雇用継続を望んだ場合に、直面する問題もあると思いますが、その点について先生はどうお考えでしょうか。

楠木 2013年に、60歳から65歳までの雇用延長制度が法律上で施行されました。2013年以降は、雇用延長で65歳まで雇用延長される人が比較的多いですし、日本の比較的大きく伝統的な組織だと、だいたい8割ぐらいの人がそちらを選んでいます。2013年前とは違った形で、多くの人が65歳までの雇用延長を選んでいるのが実態だと思います。

 雇用延長になった人たちにも取材をずっと続けてきましたが、ポイントは2つあります。1つは、現役のときに比べて、給料がガクンと下がるという給与の問題です。もう一つは、60歳までやっていた仕事を引き続き続けていけるのかどうかという仕事の内容の問題です。この2つの問題に対しては賛否両論あり、仕事が楽になって非常に良いと思っている人もいれば、同じ仕事をやっているのに給料が下がるのは納得いかないということで、怒っている人もいます。

 ただしその場合にも、65歳をこえた後、会社の中心的な仕事がなくなった中で、どう過ごしていくかという...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。